新潟県上越市および小川未明文学賞委員会は3月27日、都内で第34回小川未明文学賞の贈呈式を行った。801編の応募作から、小川未明文学賞大賞に樹あゆり「うどんの神さま」、優秀賞に隅垣健「おとぎ電車と宵待の橋」が選出された。

受賞者の樹氏(左)、隅垣氏
主催者として小菅淳一上越市長は未明の故郷・上越市高田を通した自身との縁を語りつつ、「日本近代童話の父と称される小川未明先生の文学精神である人間愛と正義感を継承し、新しい時代にふさわしい創作児童文学作品と人材を世に送り出す」と賞の目的を紹介。「多くの作品を創り上げ、人々の心に未明先生の文学精神を届けてほしい」と受賞者に呼びかけた。

主催者あいさつをする小菅上越市長
また、宮川健郎会長は昨年度よりWebでの募集を開始した結果、応募数が増加したと報告。「量がどれくらい集まるかで質が担保される」と質的向上を喜び、大賞作品は「小学4年生の男の子が元気に力強く語った、家族の再生の物語」、優秀賞作品は「美しく懐かしい光景に現代の子どもが立ち会う作品」と紹介した。

あいさつする小川未明文学賞委員会・宮川会長
最終選考委員を代表し、上越教育大学の小埜裕二教授は「子どもたちの胸に届く、若々しい感性で書かれたお話。伏線の使い方も含めて、転換の仕方がうまい。『気合い』と『間合い』が緊張と弛緩のいいリズムを作っている」と「うどんの神さま」を評価。詩人の小川英晴氏は「文学的香りの高い作品。情景だけではなく自然界の匂いが伴って感じられ、美しい物語を読ませていただいた。一気に読ませる力量がある」などと「おとぎ電車と宵待の橋」を評した。

講評を述べる上越教育大学の小埜教授
樹氏は「主人公が最初に浮かび、物語は後からついてきてくれた」と受賞作に触れつつ、今後の創作への意欲を見せた。そして隅垣氏も小川未明作品などで自身が経験した「世界がぐんと広がるような体験」を今後自分の作品でもしてもらえるように、と作品創りへの思いを語った。
また、唐ひずる氏による小川未明「名もなき草」の朗読、大澤桃代氏による「月夜と眼鏡」の読み語りも行われた。
