語学書を刊行するジェイ・リサーチ出版は、既刊を含めて電子書籍化を進めてきたが、2024年から光和コンピューターのSaaS型電子書籍売上・印税管理システム「PUBNAVI」の利用を始めたことで、印税計算にかけていた時間と労力を大幅に削減することができた。
同社は2001年に創業し、英語の資格試験参考書をはじめとして、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、ウクライナ語、ベトナム語など多くの言語、さらに日本語学習用テキストなど多様な語学書を発行。年間30点ほどの新刊を刊行し、稼働点数は800点ほどになる。
電子書籍には2018年から本格的に着手し、新刊のほぼ全てと、内容が古くなり需要が見込めないものを除き既刊の電子化も進め、電子書籍の点数は700点余りに達している。
それ以前の電子書籍化について福田富与社長は、「2011年に経済産業省の委託事業として日本出版インフラセンターが『コンテンツ緊急電子化事業』を実施したときに興味を持ったのですが、この時の電子化はPDFデータだったので、基本的に音声付(当時はコンパクトディスク)の商材が多い当社は見送ったのです」と振り返る。

福田社長(左)と久保田氏
その後、音声データの提供方法がCDからダウンロードに移行したことで、QRコードが入った書籍をそのまま電子化することが可能になり電子書籍化を本格化。その後、コロナ禍で仕事が停滞するなか、むしろ既刊の電子書籍化を進めた。
電子書店、電子図書館に販売
電子書籍の販売はkindleや楽天koboなど主要電子書店と、電子取次のメディアドゥ、モバイルブック・ジェーピーを通して多くの電子書店で配信している。また、日本電子図書館サービスの電子図書館サービス「LibrariE(ライブラリエ)」や、丸善雄松堂の学術研究機関向け電子書籍提供サービス「Maruzen eBook Library」を通して公共図書館や大学図書館などにも提供している。
売れ行きについて、同社で電子書籍を担当する総務部・久保田あずさ氏は「刊行点数の増え方ほどに販売数は伸びていませんが、前年割れしたことはなく堅調に伸びています」と話す。現在、書籍売上の5%程度と、活字もの電子書籍としては業界全体の傾向に近い割合だ。
いま売れているのはTOEFLの大幅変更にいち早く対応した『TOEFL iBTRテスト 完全対策 上級編』、同『中・上級編』、同『入門・初級編』や、『新ゼロからスタート中国語 文法編 改訂版』といったタイトルで、いずれも紙と電子両方が好調だという。
電子書籍を刊行する目的について福田社長は、「電子書籍のメリットとして、書店店頭には並ばなくなった商品をアーカイブできることがあります。そうした商品に光を当てることができますし、著者に対して責任を果たすこともできます」と述べる。
PUBNAVIで作業時間大幅短縮
PUBNAVIは2023年に導入し、翌年春頃から本格稼働している。導入の経緯について久保田氏は「電子書籍は定価販売ではないため出版社が販売価格をコントロールできません。そのため印税は販売収入に対する割合で算出していますが、時期や配信サイトごとに販売価格が異なるので集計が大変でした。そんな時、自動的に印税を計算するPUBNAVIが目に留まりました」と説明する。
電子書籍の販売価格は一定でないうえに、電子取次や電子書店ごとに提供される売上レポートのフォーマットもバラバラ。しかも、貸し出しを前提にしている電子図書館の購入価格は通常価格の倍などに設定されている。「出版社は定価販売でないと手に負えません」と福田社長もシステムの必要性を痛感していた。
以前は各電子取次や電子書店からの売上レポートを、販売会社ごとにExcelで管理していた。半年に1回の印税支払い時期には数日かけて計算していたが、いまはPUBNAVIで毎月、各社の売上レポートを取り込むことで、締めの印税計算は1人が数分で処理できる。
久保田氏は、いまの課題は紙と電子の印税を一括処理することだと述べる。これができるようになれば、PUBNAVIの支払い機能を使って、印税計算から支払いまでより効率的に行うことができるからだ。




有限会社ジェイ・リサーチ出版
代表者:福田富与
創 業:2001年2月1日
資本金:360万円
所在地:〒166-0002東京都杉並区高円寺北2-29-14 伊藤第二ビル705号
電 話:03-6808-8801
