紀伊國屋書店 戸田恵子さん講演会に183人が参加

2025年12月5日

スクリーン上映された戸田さんによる『あんぱんまん』朗読

 東京・新宿区の紀伊國屋書店新宿本店内にある紀伊國屋ホールで、アニメ「アンパンマン」の声優として活躍する戸田恵子さんが、やなせたかしさんや「アンパンマン」への思いを語る講演会「アンパンマンと私とやなせ先生」(主催:紀伊國屋書店/協力:フレーベル館)が11月25日に開催され、戸田さんのファンなど183人が参加した。講演後には戸田さんによる『あんぱんまん』の朗読も行われた。

 

 戸田さんは15歳のときに故郷の名古屋市から単身で上京し、歌手から劇団入団、声優になるまでの経緯を披露。声優業を開始した戸田さんが初めて演じたのは、外国映画「眠れる森の美女」の吹き替えで主役のオーロラ姫役を務めたという。戸田さんは「初めての声優業で、しかも主役で不安を覚えたが、ほとんど寝ている役なので新人の私でもできた」と会場を沸かせた。

 

 その後「機動戦士ガンダム」など、アニメの声優として活躍するようになった戸田さん。「アンパンマン」の声を担当することになった経緯について、「オーディションなしで採用されたが、温厚な幼児向けのキャラクターは初めてで戸惑いもあった」としながらも、「台本を読んで泣いたことは初めての経験。自分に与えられた仕事だと思った」と語った。

 

 やなせさんが逝去されたときの思いについて「やなせ先生という大きな傘の中にいたような感覚でそれが突然なくなってしまった。表現しようのない喪失感にさいなまれ、アンパンマンを続けられそうにないとまで思った」と当時を振り返った。その後、恒例行事で仙台のアンパンマンミュージアムを訪れた際、子どもたちが喜んでいる光景を見て、「たくさんの子ども達が集まってくれて、私個人や大人の事情なんて関係ない。続けなければと目が覚めた」と当時の思いを語った。

 

 講演後には第一作となる『あんぱんまん』の朗読会を実施。戸田さんは同書に収録されているやなせさんの思いが込められた、まえがきとあとがきも読み上げ、参加者はその声に耳を傾けた。