「The Bunka News」デジタル版 9月閲覧ランキング 1位「啓文堂書店社名・屋号変更」

2025年10月7日

 文化通信社はこのほど、2025年9月の「The Bunka News」デジタル版で月間アクセス数の多かった記事を集計した(集計期間は8月23日~9月26日)。最も読まれたのは紀伊國屋書店 京王書籍販売『啓文堂書店』社名と屋号を変更(9月12日配信)だった。

 

 紀伊國屋書店は9月12日、9月1日付で完全子会社の社名を「京王書籍販売株式会社」から「紀伊國屋書籍販売株式会社」に変更し、同社が運営する「啓文堂書店」の屋号も12月末を目途に、順次「紀伊國屋書店」に変更することを発表した。

 

9月ランキングのサムネイル

 

 屋号変更1号店として9月25日に「啓文堂書店府中本店」を「紀伊國屋書店府中店」に変更した。啓文堂書店から紀伊國屋書店への屋号変更は同店が1号店目で、同店を皮切りに25年内を目途に全店の屋号を変更していく予定。

 

 先立つ7月から全店で紀伊國屋書店の他店実績を参考に必須銘柄など、全ジャンルの在庫点数の増加や見直しを図り、店頭ラインアップを拡充。結果、昨年8月売上に対し同月比で2.9%増と伸長(25年3月閉店の北野店は除く)。9月も前年同月比100%を超えるペースで売り伸ばしているという。

 

 2位は今井書店松江本店 本格カフェで『すごせる書店』目指す 全面リニューアルで売上好調(同17日配信)。

 

 今井書店は旗艦店舗の松江本店(旧グループセンター店)を全面リニューアルし、グランドオープンした。「すごせる書店」をコンセプトに、来店客がくつろげる長時間滞在型の店舗に移行。オープン以降、書店売上は前年比120~130%の伸びを実現。カフェも大きく売上を伸ばしている。

 

 同店の店舗面積はリニューアル前と同じ300坪。入口周辺は約100席のカフェが占めるため、書店のスペースは以前より縮小した。それでも、書籍・雑誌の在庫は以前の19万冊(9万5000タイトル)から22万冊(12万5000タイトル)と20%ほど増やした。出版物の在庫を増やせたのは、天井を外して空間を縦に広げることで、書棚を180㎝から220㎝へと高くしたため。

 

 什器作りは設計段階から書店員側の意見も反映し、書籍や文庫、コミックスなど、並べる商品の判型に合わせて棚の奥行きを変えたり、児童書の棚は子どもの見える高さで面出しと差しができるようにするなどこだわった。

 

 カフェや店舗のコンセプトづくりについて、店舗プロデューサーを務めた入川ひでと氏は、カフェは「書店が開催するイベントやワークショップの会場になり、それを来店客に告知する窓口にもなるし、お客さんの反応を書店にフィードバックする役割」を果たすものと説明する。倉庫のような内装にリニューアルしたのは、「何もない空間に本があるというのが、書店本来の姿」であり「本を主役」にする意図があるという。

 

「積読チャンネル」ECで1タイトル・1万冊超販売も

 

 3位バリューブックス 本紹介系YouTubeチャンネル『積読チャンネル』 1年半で登録者数10万人突破 紹介本販売は累計3.5万冊に(同17日配信)

 

 バリューブックスが運営する公式YouTubeチャンネル「積読チャンネル」は開設から約1年半で、チャンネル登録者数10万人を突破。動画で紹介した書籍のうち、同社ECサイトを通じて購入された冊数は25年8月末時点で累計約3万5000冊、売上は約7300万円に達している。動画紹介をきっかけに重版が決定した書籍も16タイトルとなり、出版社から帯コメントの依頼が入るなど、出版業界内での存在感も高まっている。

 

 7月8日に「ゆる言語学ラジオ」出演者・水野太貴氏の著書『会話の0.2秒を言語学する』(新潮社)を同社ECサイトで販売開始し、同チャンネルでの告知と、「積読チャンネル」飯田氏によるSNS発信により同27日までで販売数が1万1600冊に達したという。

 

 4位文喫史上最大の新旗艦店『BUNKITSU TOKYO』 “書店がこれからも、あり続ける未来を創る”(9月24日配信)。

 

 日本出版販売(日販)の子会社である株式会社ひらくは、入場料のある本屋「文喫(ぶんきつ)」4店舗目となる、「BUNKITSU TOKYO(ブンキツトーキョー)」を9月12日、東京・港区のニュウマン高輪South5階にオープンした。

 

 「BUNKITSU TOKYO」は、店舗面積1000坪超・約10万冊の本を揃え、全223席のカフェラウンジを有する「文喫」史上最大の新旗艦店。オープン直後から多くの出版関係者が訪れたが、児童書コーナーのある一角の陳列方法に疑問もあるとの声も聞こえた。