日販グループで書店を運営するNICリテールズは、このほど第1回「NIC書店絵本大賞」の受賞作を『クジラがしんだら』(江口絵理文、かわさきしゅんいち絵、藤原義弘監修、童心社)に決定したと発表した。10月1日から同社が運営する書店で受賞作のフェアを展開している。
同大賞は「リブロ絵本大賞」と「積文館グループ絵本大賞」を統合して創設。全国の同社各店(リブロ、BOOKSえみたす、積文館書店、よむよむ、オリオン書房、CROSSBOOKS、ブックセンタークエスト、文榮堂、あゆみBOOKS、PAPERWALL、パルコブックセンター、miyokka!?、多田屋など)の書店員が「広く紹介したい」「強くおすすめしたい」と思う作品を選ぶ。リブロ絵本大賞は10年に開始し15回実施。積文館グループ絵本大賞は14年に開始し11回実施してきた。
今回は2024年7月から25年6月の間に刊行された絵本を対象に各店の書店員による推薦をもとに10冊を候補作として選定し、社内投票により1位になった作品を受賞作とした。『クジラがしんだら』は24年9月発売。定価1980円。
受賞した江口絵理氏は「栄えある第1回に選んでいただき、ありがとうございます。絵本の作り手なら誰もが憧れるリブロ絵本大賞と積文館グループ絵本大賞の流れを汲む本賞で、NICリテールズグループ書店各店の書店員のみなさまから推していただけたことに舞い上がっています。書店の店頭はかけがえのない、人々と本の出会いの場。受賞を機に、みなさまと『クジラがしんだら』で、その場をよりにぎやかで豊かなものにしていけたらと願っています」とコメント。
かわさきしゅんいち氏は「このお話をいただいた時、死の暗い面ではなく、死から生を獲得する深海の宴を描こうと思いました。子どもたちが循環する死と生のつながりを感覚的に知ったり、日常にある『食べる』ということをより俯瞰的に見られる入り口にもなるよう、くらい深海世界をなるべくポップに描きました。地球のあらゆる場所、宇宙のような暗黒の中ですら、生と死はしたたかに輝いているのです。この度は素晴らしい賞を本当にありがとうございました」と喜びを述べている。