法藏館 仏教書など専門書の電子化を推進 アットマーククリエイトは心強いパートナー

2024年3月7日

電子化した法藏館の書籍ラインナップ(一部)

 

 慶長年間(1596~1615年)創業、仏教書を中心に400年以上の業歴を誇る京都の法藏館(西村明高社長)は近年、思想、哲学、歴史などジャンルを広げ、2019年には名著の文庫化もスタートさせるなど事業の領域を広げている。また、需要のある既刊の電子化に取り組むことになり、大阪に本社を置く電子書籍制作会社のアットマーククリエイト(高畠直美社長)を取引先に選んだ。法藏館の電子化の現状などを担当者に聞いた。

 

名著を残すには電子化は不可欠

 

 社歴的に膨大な数の書籍を有していることから、「名著をどう残していくか」は長年の課題だった。


 法藏館・デジタル・システム担当の池澤智之さんは「後世に残すべき書籍は多いが、簡単に重版するにはコストが合わない。専門書は売り切るのに期間を要し、個別の対応は難しい。大学の採用品として『4月から授業で使いたい』と話がきても在庫がない状況が続いた」と話す。


 また、「法蔵館文庫シリーズ」創刊により、さらに刊行点数が増加することも踏まえ、電子化の準備を進めることになった。池澤さんは「緊デジ(コンテンツ緊急電子化事業)のときに数点着手したが、それ以来取り組んでおらず知識もなかった」とし、アーカイブ事業でも定評のある丸善雄松堂に相談したところアットマーククリエイトを紹介されたという。


 池澤さんは「先駆けて図書館などに電子書籍を配信している丸善雄松堂さんの推薦なら間違いないと考え、さっそくアプローチした。私も当初は『EPUBとは? リフローって何?』といったレベルだったが、高畠社長は丁寧に説明してくれて任せてみようと決めた」と経緯を語る。

 

特殊テキストも対応できる高技術

 

 仏教書の性質上、漢文やルビの多用、特殊な表、さらにサンスクリット語で書かれた文章もあり、リフロー型には適さないレイアウトやテキストでも、アットマーククリエイトなら鮮明な電子化が実現できるという。また、2000年以前の書籍はデジタルデータがないケースも多く、自社で書籍を裁断してスキャンしていたが、同社への依頼で作業効率が格段に向上した。


 費用面についても池澤さんは「コストと、電子化による利点のバランスも重要。当初は『電子化して需要はあるのか』という社内の空気もあったが、料金体系はページ単位で明瞭かつリーズナブルに設定されている。この点も会社を納得させる要因になった」と評価する。現状は図書館や研究機関で需要が見込まれる既刊本を中心に電子化を進めるが、今秋創刊5周年を迎える文庫シリーズは、今年中に全点(60点強)の電子化を目指すという。

 

 

法藏館・池澤さん

 

多様なサービスに期待

 

 アットマーククリエイトに対して「電子取次や電子書店向けのエントリー作業が大変。私一人で担当しているので、書誌データ作成や入稿作業に手を焼いている。大手や主要な電子書籍ストアへの配信業務も手掛けているようなので相談したい」と期待する。


 最後に「高畠社長にはいつも無理難題をお願いしているが、高度な技術、正確な仕事でしっかり対応してくれている。とても心強いパートナー。今後もより効率的な助言、的確な指導をお願いしたい」と語っていた。

 

電子書籍制作会社アットマーククリエイト 高畠直美社長に聞く 大手と一線画す