インテージテクノスフィア 「出版POSサービス・Bookインタラクティブ ユーザー会2024」出版関係者176人が参集

2024年2月28日

 店舗のPOSデータ収集・分析ツール「出版POSシステム」や、出版社・書店間オンライン受注システム「Bookインタラクティブ」などを運営するインテージテクノスフィアは2月8日、富士ソフト アキバプラザ(東京・千代田区)でユーザー向けの説明会を行った。出版社のインプレスとGakken、未来屋書店と福音館書店が活用事例や自社の取り組みについて紹介した。176人の出版関係者が集まり、説明会のあとは懇親会も開催された。

 

あいさつをする代表取締役社長の酒井氏

 

 説明会は二部構成で行われ、冒頭、インテージテクノスフィア代表取締役社長の酒井和子氏があいさつ。「コロナ禍を経てDXへの期待がますます高まるなか、データに魂を吹き込み、世の中を感動させる」のが同社のビジョンであるとし、「ITの力によって課題を解決し、出版業界の発展と成長に向けて貢献していく」と話した。

 

出版社での活用事例とメリット

 

 第1部では、同社エンタープライズ第二本部営業企画推進室の馬場一朗氏が「出版社向けサービスの紹介と現状」について説明した。同社が提供する出版社向けのサービス「出版POSシステム(データ集計分析)」「Bookインタラクティブ(書店オンライン注文)」「在庫データ中継(FTPデータ送信)」の3つについて概要を述べ、出版POSサービスについては、利用出版社が266社、POSデータ提供店舗数が4572店、POSデータ提供拠点数は20拠点であることも発表した。また、ユーザーの要望に応えるため、「よくばり活用マニュアル(逆引きマニュアル)」と操作説明動画も追加したことなどを説明し、活用をうったえた。

 

 次に、実際に出版POSシステムを利用している出版社・インプレスの出版営業部長・湯浅創氏が登壇し、社内での活用事例について話した。湯浅氏は、書籍(書店)別売上ランキングで、「白黒表(勝負表)が生成されるため、同規模・同立地の観点で特殊な伸びやへこみが確認できたり、全国ランキングに対して、該当書店でのズレをチェックしたりできる」ことなどを説明。POSデータを活用する意義として、今売れている本の把握ではなく、今後何を売り伸ばすか、将来売れるジャンルはどれか判断する材料として活用すべき、などPOSシステムとの上手な付き合い方を指南した。

 

インプレス・湯浅氏

 続いて、地球の歩き方の取締役で、Gakken経営戦略室の河村達哉氏は、在庫データ活用事例を紹介した。「Gakkenがやりたかったこと」として、棚の発注点管理や鮮度管理の効率化を目的に、書店との共同在庫管理が実践されていることを説明した。実際に活用するなかで、インテージテクノスフィアに改良を求めたこともあり、そのうえで、同社のサービスを利用する複数のメリット(開発費の低減など)も具体的に示した。

 

Gakken・河村氏

 

書店のシステム導入と6つの新機能

 

 第2部では、特別講演として未来屋書店ITシステム部の邉見哲也氏が登壇した。全国の書店が閉店しているように、未来屋書店も「2015年に350だった店舗が23年には218まで減少した」という。しかし、「“自分の街で本が買える当たり前”を実現することが書店の使命であり、イオンのグループ企業として、実現させたいミッション」であるとし、読書家を育成し、店舗を持続可能なモデルに転換するための取り組みなどを紹介した。経営理念の見直しや、新業態「みらいやの森」の展開、トーハンとの協業、データ活用の強化など、資料を提示しながら、Bookインタラクティブ活用のメリットについても話した。

 

未来屋書店・邉見氏

 

 次に、インテージテクノスフィア、エンタープライズ第二本部システム・サービス三部 出版グループの佐藤真也氏が登壇し、「Bookインタラクティブの現状と機能追加」について具体的に説明した。新機能として、返品承諾機能やJPRO書誌データ連携機能など6つの新しい機能を紹介するとともに、既存の機能についてユーザーの要望に対応した点を一部紹介した。さらに、今年の7月からその他の要望についても対応を実施することを発表した。

 

 続いて、福音館書店の販売部部長・柴田憲志氏が登壇し、「Bookインタラクティブ活用事例」を紹介。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言時に、受発注処理の困難に直面したことがきっかけとなり、「20年5月11日にシステム導入の検討を始め、6月15日に運用を開始」した。現在、Bookインタラクティブの使用率は約4割。今後は「全ての注文発注ができるように、自社専用画面を作り上げていきたい」とし、25年度の完全オンライン化を目指していると語った。

 

福音館書店・柴田氏

 

 最後に、インテージテクノスフィア、エンタープライズ第二本部営業企画推進室の神戸秀樹氏が登壇し、同社の「ソリューション・サービス」について紹介。システムインテグレーション(システム開発)、BPM(業務代行)、データ活用/DX支援、AI/Data Science(画像・動画解析など)に加え、マーケティングリサーチ・プロモーションを手掛けているとし、出版社に向けてアピールした。

 

最後に、ふだんは長野に常駐している開発運用メンバーを含め、主要メンバーを神戸氏が紹介した