【アピール全文】文字・活字文化推進機構など 「生成AI『チャットGPT』と学校の教育・図書館の未来を考える」

2024年2月9日

 人間が書くような文章や精巧な画像をつくりだす生成AI「チャットGPT」は、行政事務の効率化や生産性の向上、医療や福祉の充実など多くの分野で、利便性をもたらすと期待されている。その一方では、AIを悪用した偽ニュースの拡散や情報偏向、情報操作など民主主義の基盤を揺るがす状況も現れており、扱い方をひとつ誤ると、人類の存続と文明の崩壊を招くという警鐘が相次いでいる。

 

 生成AIの教育利用も大きな課題となっている。文部科学省は生成AIの教育利用についてガイドライン(指針)を公表し、情報活用能力が育っていない段階で、自由に使わせることは適切でないとした。活用の例として、グループで考えをまとめたり、英会話の相手とすることなどを挙げている。前のめりの安易な利用を戒める考え方が色濃い指針であり、私たちは幼児教育や小中学校の教育現場に周知徹底するよう要望する。

 

 情報活用能力は、子どもが自ら課題を設定し、さまざまな課題の解決のために、新聞や本をよく読み、多様な情報を集め、それを分析・判断する探究学習の過程で養われる。それは「考える力」を育む過程ともなっている。探究学習への習熟は、生成AIの情報や文章を鵜呑みにして、リポートや読書感想文をまとめる安易な利用から、子どもを遠ざけることでもある。そのためには、学校図書館の徹底活用が必要である。

 

 生成AIの教育利用が避けて通れない今日、学校図書館は新たな課題を抱え込んでいる。いつも児童・生徒のそばにいて、生成AIの作成文やネット情報の真偽を見極めるための助言者が必要となったのである。生成AIの教育利用は、情報活用の知識を持つ学校司書の協力が欠かせない。私たちはそうした新たな課題の解決のためにも、一校専任の正規司書配置の実現を政府・自治体に対し、改めて強く求めるものである。