東京都書店組合が新年懇親会 キャッシュレス手数料問題 「業界全体で議論を」 書協 「ブックイベントナビ」協力を呼びかけ

2024年1月22日

 

「ブックイベントナビ」への協力を求める日本書籍出版協会・相賀ブックフェア委員長

 

 東京都書店商業組合は1月16日、新年懇親会を東京都内のホテルで開催した。矢幡秀治理事長(真光書店)らのあいさつに続き、日本書籍出版協会ブックフェア委員会の相賀昌宏委員長(小学館)から、書店のイベントを紹介するポータルサイト「ブックイベントナビ」の紹介もあった。

 

 懇親会の冒頭、東京組合の平井久朗副理事長(ビーブックス)があいさつ。「今、残念なことに町から書店がどんどん消えている。その中で、新たに頭を抱えているのがキャッシュレス手数料の問題だ。政府はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げている。組合にはキャッシュレスの問題をなんとかしてくれという声も多く寄せられている」としたうえで、「今後、書店のキャッシュレス決済比率がさらに増えていくと、厳しい経営を余儀なくされる。業界全体で書店の負担を低減するような取り組みをぜひ考えていただきたい」と呼びかけた。

 

 続いて、矢幡理事長があいさつ。能登半島地震の状況について説明したあと、出版業界一丸で実施する読書推進月間「BOOK MEETS NEXT」や、東京組合ユーチューブチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」、「本屋文化を未来に残すための『明日にも、本屋さんを』プロジェクト」などの取り組みを紹介し、「こういった取り組みを続け、東京から全国に発信していく。日本を変えることにつながってほしいという思いで進めている」との思いを語った。

 

 出版社を代表して日本雑誌協会・堀内丸惠理事長(集英社)もあいさつ。「人間が生きていくために水や食べ物は命の糧、一方で書物は心の糧と言えるだろう。出版界は物流の問題にしても、簡単にはいかない課題をたくさん抱えている。関係する皆さんと一つ一つ向き合って困難な道を乗り越えていきたい。一人でも多くの人に、一点でも多くの心の糧を届けられるよう私たちも精一杯努力する」と話した。取次会社を代表して、トーハン・川上浩明代表取締役副社長もあいさつした。

 

 

「ブックイベントナビ」https://bookeventnavi.com/

 

 

 日本書籍出版協会が運営し、昨年12月1日から公開されている「ブックイベントナビ」を紹介した相質委員長は、「ブックフェア委員会では、大きなブックフェアの開催が困難な状況下で、むしろ各地で開かれている小さくても特色のあるブックフェアを一括して紹介するサイトの構築に取り組んだ」と説明。

 

 「ただ、このサイトの最終的な目的は少し違うところにある。もちろん、ブックフェアの紹介という体裁は捨てないが、むしろ書店の棚づくりやコーナーづくり、あるいはお客さまへのちょっとしたサービスの工夫などを、サイトを見た人に発見してもらい、実際にお店へと足を運んでもらうことを目論んでいる。つまり書店に足を運んでいただくためのサイトを目指したい」との考えを示した。

 

 そのうえで、「皆さんには書棚の自慢、コーナーの自慢、サービスの自慢など、お客さまがちょっと覗いて納得して、書店とお客さまの間にコミュニケーションが生まれて、親近感を感じるような情報をぜひ提供していただきたい。書店自体がメディアであり、書店営業自体がイベントであることを、お客さまと書店が共有していただきたい」と訴えた。

 

 相賀氏は「サイトの現状の形はあくまでもスタートであり、これからのあるべきサイトの形は書店自らがつくるものでなくてはならない。書店同士が楽しみながら、またお互いに共感し、学び会うことができれば、このサイトは魅力的で他にはないものになると確信している。ぜひ、ブックイベントナビへの情報提供と、改善に向けた意見を寄せてほしい」と協力を呼びかけた。