書店新風会 第58回新風賞贈呈式と新年懇親会を開催 大垣会長が能登半島地震の支援活動を報告

2024年1月11日

 書店新風会は1月10日、東京・新宿区のハイアットリージェンシー東京で第58回新風賞贈呈式と新年懇親会を開き、大垣守弘会長(大垣書店)は能登半島地震で被災した会員の文苑堂書店への支援活動で感じたことなどを報告した。

 

あいさつする大垣会長(左)と来賓の左から書協・小野寺理事長、雑協・堀内理事長、取協・近藤会長、日書連・矢幡会長、悠々会・高井会長

 

 会場には会員書店23社28名、出版社133社203名など計271名が来場。来賓の日本書籍出版協会・小野寺優理事長(河出書房新社)、日本雑誌協会・堀内丸恵理事長(集英社)、日本出版取次協会・近藤敏貴会長(トーハン)、日本書店商業組合連合会・矢幡秀治会長(真光書店)、悠々会・高井昌史会長(紀伊國屋書店)の紹介に続き、大垣守弘会長(大垣書店)があいさつした。

 

 大垣会長は文苑堂書店への支援活動について、「若いメンバーが吉岡(幸治)社長にLINEで問い合わせ、いろいろと調べてもらい行くことができた。すぐに行動してくれたことは会としても非常に心強い」と報告。

 

 そのうえで散乱した本を整理する中で、時代を経た名著が品揃えされていることに、「こういう本が地方でもしっかりと品揃えされて棚にある。これが地方文化を支える書店の大きな役目だと考えた」と語り、さらに「棚から落ちた本のうちシュリンクパックしてあるものは全然汚れていない。シュリンクパックして出荷してもらえば返品も減るのではないか。本の管理をする上で大事なことだと感じた」と述べた。

 

 第58回新風賞は黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)と鈴木のりたけ『大ピンチずかん2』(小学館)のダブル受賞となった。選考では600名の書店員が投票し、得票数が拮抗した両作品が受賞した。

 

 『続 窓際のトットちゃん』は前作が1982年に第16回新風賞を受賞。23年10月の刊行直後より世界的ロングセラーの続編として多くのメディアなどで話題となり50万部に達している。同じ著者の受賞は第2回と第7回で受賞した有吉佐和子に次ぐ2人目。講談社は特別賞1回を含む10度目の受賞。

 

 一方の『大ピンチずかん2』は22年2月の刊行から47万部を発行。前年に刊行した『大ピンチずかん』と合わせると125万部に達している。小学館の受賞は1992年第26回『日本列島大地図館』以来2度目の受賞。

 

 授賞あいさつで、黒柳氏を担当する講談社・井本麻紀氏は「最初は佐藤愛子さんのような本を出してもらいたいと思い近づいたが、黒柳さんの方から続編を出したいとおっしゃっていただいた」と刊行の経緯を報告。同社で販売を担当する角田真敏取締役は『窓際のトットちゃん』が「全世界で2500万部、中国ではいまも毎年100万部重版している」と報告。「皆さんの力をお借りして、日本代表する作品を世界中に届けていきたい」と述べた。

 

賞を受ける井本氏

賞を受ける角田氏

 『大ピンチずかん』の著者、鈴木のりたけ氏は地方で受賞したエピソードを紹介して謝意を示した。小学館・相賀信宏社長は乾杯の発声もかねて「能登半島地震の暗いニュースからのスタートではあるが、出版ビジネス、コンテンツビジネスは、たくさんの方々に差別なく良いものを届けていく。人々の心を潤わし、笑顔を増やしていけるよう力を合わせていきたい」とあいさつした。

 

賞を受ける鈴木氏

あいさつする相賀氏