【電子出版特集2023】株式会社ブックウォーカー 日本コンテンツの海外展開を強化

2023年7月27日

 KADOKAWAグループで電子書店「BOOK☆WALKER」と電子取次事業を展開する株式会社ブックウォーカーは今年3月、株式会社KADOKAWAとともに、エンターテインメント消費に意欲的な若年層が多く、市場の成長が期待できるタイで電子書籍ストア「BOOK☆WALKER Thailand」を開設。一方、2016年にストアをオープンした台湾では日本語の電子書籍をそのまま販売するサービスにも力を入れている。

 

可能性大きいタイ市場

 

バンコクでのブックフェアでは来場者の会員登録などを行った

 

 アジアでは台湾に次ぐ参入となるタイに注目した理由を栗本直彦執行役員は「現地資本の大手電子書店が市場を拡大しており、現地出版社の電子化への理解も進んでいる」と述べる。

 

 同国では20代後半~30代の若い世代が人口に占める割合が高く、動画配信サービスでアニメのサイマル配信が普及し、コロナ禍の巣ごもり需要もあって、日本のマンガ、ラノベに対する需要が高まっている。KADOKAWAが現地メディア企業と合弁で設立した出版社KADOKAWA AMARINの紙書籍と電子書籍の販売も、ここ数年は180~200%の伸びを記録するなど好調だ。

 

 栗本執行役員は「アニメ配信がきっかけになってマンガ市場が伸びている。若い世代が日本コンテンツに好印象を持っており、アジアのなかでは可能性が大きな市場」とみる。

 

 「BOOK☆WALKER Thailand」は、日本の大手出版社がライセンスアウトしているタイの出版社約10社と契約し、マンガを中心にタイ語翻訳作品約2万点を現地通貨・バーツで販売する。KADOKAWA AMARINの拠点に現地スタッフを置き運営に当たる。

 

 ブックウォーカーは3月末から開かれたタイ最大のブックフェア「第51回ナショナルブックフェア&第21回バンコクインターナショナルブックフェア」のメインオフィシャルスポンサーとなり、ポスター掲示などで「BOOK☆WALKER Thailand」をアピール。オープン後は他のエリアのスタート時期と比べて好調な推移だという。

 

 同社は電子書店の運営と合わせて電子取次事業も行っていることから、日本作品のタイ語への翻訳やライセンスアウト、タイの現地ストアへの取次など、総合的なサポートが可能だ。

 

バンコクのブックフェア」で掲示したポスター

 

台湾で日本語コンテンツの販売好調

 

 同社は2015年にオープンした英語版ストア「BOOK☆WALKER Global」に続き、翌2016年に台湾現地関連会社と共同で台灣漫讀股份有限公司を設立し「BOOK☆WALKER台湾」をオープン。その後順調に流通総額を伸ばしてきた。

 

 ストアとしては現地出版社が繁体字に翻訳した日本作品のライセンス作品を中心に販売しているが、このところ、日本の出版社が日本語のままで作品を販売できるサービスにも力を入れている。

 

 このサービスでは、書誌情報も電子書籍のEPUBデータも日本語のまま、新たな契約も必要がなく、売り上げの集計も決済も日本円。国内向けと変わらない手間で海外に販売できるところが魅力だ。

 

「BOOK☆WALKER台湾」の日本語作品ページ https://www.bookwalker.com.tw/

 

 特にアイドルの写真集などは売れ行きが良いといい、「国内で紙の出版が厳しくなっているグラビア写真集を支える手段の一つと評価をいただいている」と栗本執行役員は説明。今後は台湾に限らずアジア圏に販売していくことも見据えている。

 

 また、日本語のマンガ作品へのニーズも出始めており、マンガで海外市場を開拓する一つの方法としても注目される。

 

 同社は今後、他のエリアへの展開も検討しており、電子書籍による日本コンテンツの海外展開に力を入れていく。

 


 

株式会社ブックウォーカー(BOOK WALKER Co.,Ltd.)

所在地:〒102-0076東京都千代田区五番町3-1 五番町グランドビル3F

代表者:森田岳

設 立:2005年12月1日

資本金:1億円

 

 

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