「文学フリマ東京36」開催 過去最多 1万人以上が参加 若者を中心に「活字」に親しむ

2023年5月29日

 

二つの会場に分かれて開かれた「文学フリマ東京36」

 

 活字文化に親しむ人々が文学作品を持ち寄る展示・即売会「文学フリマ東京36」が5月21日、東京・大田区の東京流通センターで開かれた。小説、物語、詩、俳句、短歌など多岐にわたる「自分が『文学』と信じるもの」を自ら販売するイベントで、今回は過去最多となる1460を超える出店者が集まった。当日は正午の開場直後から、若者をはじめとする多数のファンが押し寄せ、終了の17時までにぎわった。出店者と一般来場者あわせて約1万1300人が訪れ、これまでで最多の参加者となった。

 

過去最多の参加者数になったことを会場に報告する望月代表

 

 文学フリマ(一般社団法人文学フリマ事務局主催、望月倫彦代表)は、評論家の大塚英志氏の呼びかけによって2,002年に始まった文学作品の展示・即売会。これまで東京、大阪、名古屋、金沢、福岡、札幌、岩手などで開催されている国内最大級の文学のイベント。

 

 東京では今回で36回目(第30回はコロナ禍のため中止)、全国通算で93回(うち7回はコロナ禍のため中止)となる。参加者の過去最多は昨年11月の「文学フリマ35」の約7500人。今回初めて、参加者が1万人を超えた。

 

 会場ではプロ・アマ問わず、作者自身が出店者となって自分なりの「文学」を販売。文学のジャンルもさまざまで、小説、詩歌、評論、児童文学、絵本、ノンフィクション、写真集など何でもあり。参加者の年齢も20代、30代を中心に高校生から70代まで幅広く、歴史ある文芸同人誌や大学サークルのほか、個人も多数参加する。出版社、書店の出店もある。一般来場者は入場無料。

 

 東京では08年から年2回開かれており、文学作品の祭典として広く認知されているという。また、近年では文学フリマで発表した作品が直接のきっかけとなり、単行本が商業出版される事例も増えている。

 

 実際、「文学フリマ東京36」でもブース出店する作家の姿が見かけたり、長い行列ができているブースもあった。出版社や書店の出店者も見られた。自社が主催する「ポプラ社小説新人賞」のPRをするポプラ社文芸編集部や、読書関連の文房具や雑貨を販売する丸善ジュンク堂書店のブースには、ひっきりなしに多くの人が訪れていた。

 

 

文化通信社も出店して『先輩の本棚』などを特別価格で販売した

 

文化通信社も出店 『先輩の本棚』など販売

 

 5月21日に行われた「文学フリマ東京36」には、文化通信社も初めてブースを出店した。当日は山口健代表、星野渉社長らが一日ブースに立ち、著名人50人と本のプロが若者に推薦する書籍を紹介しているギフトブックカタログ『先輩の本棚』(B5変型判172㌻、税込1,100円)を、会場特別価格で販売した。また、子育て中の著名人22人、書店員、図書館司書各3人が選んだ100点の子ども向け本を紹介するカタログ『こどものための100冊 2,023』もPR。『先輩の本棚』購入者の特典として無料で配布した。関連のオリジナルトートバッグも半額で販売した。

 

 会場入口付近に設けられた文化通信社のブースには、一日を通してたくさんの人が訪れた。見本で置かれた『先輩の本棚』を熱心に読んだり、掲載されている著名人が並んだポスターに見入る人も多くいた。「素敵な本ですね」「こういった本が欲しかったんです」などと言いながら、若い人を中心に購入者が相次ぎ、想定以上の売れ行きだった。

 

会場内の様子

開場直後、続々と来場する若者ら

入場を待つ来場者の列