【セルフレジ特集2023】書店経営厳しい中 セルフレジに注目集まる 経費減やサービス向上に活用

2023年3月14日

 出版物の巣ごもり需要が終息し、売れ行きの落ち幅が大きくなる中で、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で電気代をはじめとした諸経費の値上がりが書店の経営をさらに厳しくしている。そんな中、セルフレジの導入による効率化が一段と注目を集めている。本特集では、書店向けにセルフレジを提供する光和コンピューター、サインポスト、文献社、METRO PLUSの各社システムと導入事例を紹介する。

 

 スーパーなどではおなじみになってきたセルフレジだが、書店での普及はまだこれからだ。いち早く全店で導入した三洋堂書店や、レンタルから導入を進めたTSUTAYAなどが先行し、ここにきて、くまざわ書店や啓文社、大垣書店などが導入を進めている。

 

くまざわ書店田町店では店員が積極的にサポートする

 

 セルフレジ導入の目的としては、まず人件費の削減であろう。レジに張り付く人員を減らせば全体として店舗運営のための人を減らすことができる。さらに、レジ業務が軽減されることで、スタッフは接客や商品管理など他の店頭業務に集中できるようになり、店舗やサービスの質向上に結びけることも可能だ。

 

フルセルフレジを導入した啓文社岡山本店

 

 また、セルフレジを利用する顧客をスタッフがサポートすることで、従来のレジに比べてコミュニケーションがよくなるという効果も報告されている。対面で手早く清算を済ませる作業よりも、隣に立ってアドバイスしながら作業を進める方が、お互い接し方にも余裕がでて、対面レジでは少なかった会話が生まれることもあるようだ。

 

 

 ただし、セルフレジにしたからといって、客さばきが速くなるわけではない。そもそも不慣れな顧客が操作するため、プロがさばく有人レジに比べると遅くなるのが一般的だ。そのため、セルフレジ導入時に有人レジより台数を増やすケースが多い。

 

 セルフレジの運用には、顧客が商品のスキャニングから清算まですべて行うフルセルフ型と、スキャニングなどを店員が行い、清算のみを顧客が行うセミセルフ型がある。また、レジカウンターに有人レジを残す形と、すべてをセルフに入れ替える形もある。

 

 特に専用のコミック売り場があって防犯タグを利用しているケースでは、レジでタグの回収を行う必要があるため、スタッフが常駐するセミセルフ型で対応している例が見られる。

 

 今後、防犯タグの無効化が可能なセルフレジが登場したり、ICタグを本に装着するRFIDが普及することも期待されている。

 

【文献社】書店webをプラットフォームに書店DXデジタル変革を支援 人と情報・サービスを共存・連携へ

 

【サインポスト】消費者の使い易さを追求した書店特化セルフレジ 防犯タグ対応機能6月リリース予定

 

【光和コンピューター】くまざわ書店・啓文社など6法人42店舗がセルフレジ導入

 

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