第38回「梓会出版文化賞」は書肆侃侃房 第19回「出版梓会新聞社学芸文化賞」は千倉書房

2022年11月11日

 一般社団法人出版梓会は11月1日、第38回「梓会出版文化賞」と第19回「出版梓会新聞社学芸文化賞」の受賞社を発表した。梓会出版文化賞は株式会社書肆侃侃房(しょしかんかんぼう、福岡県)に、同特別賞は合同会社タバブックス(東京都)に贈る。出版梓会新聞社学芸文化賞は株式会社千倉書房(東京都)が、同特別賞に株式会社ブロンズ新社(東京都)がそれぞれ選ばれた。

 

 梓会出版文化賞は、優れた出版活動を継続して展開している中小出版社の出版活動そのものを顕彰するという主旨で、1984(昭和59)年に創設された。その第20回を機に出版梓会新聞社学芸文化賞が新たに設けられた。

 

 今年6月末に全国765社余りの出版社に呼びかけをおこない、自薦応募社の69社が選考対象になった。ジャンル別の応募は、社会科学系図書51点、人文科学図書83点、自然科学図書20点、児童図書27点、文学・芸術図書65点 実用書・生活文化図書10点。その中から先述した各社にそれぞれの賞を贈呈することが決まった。

 

 出版梓会によると、書肆侃侃房は従業員8人、2002年設立、今年で創立20周年を迎えた出版社。『左川ちか全集』は、10代でヴァージニア・ウルフなどの翻訳を残し、詩人として活躍した左川ちかの全貌を年譜、解題、解説などで知ることができる全集。また、16年からは「韓国女性文学シリーズ」、19年から「韓国文学の源流シリーズ」など韓国文学にも早くから注目していた点なども評価され、満場一致で決まった。

 

 千倉書房は1929年設立の従業員10人の出版社。中国国内では出版できない『中国外交政策決定 研究』、話題の政治と宗教を扱った『日本の宗教と政治―ふたつの「国体」をめぐって』『外務省と日本外交の1930年代─東アジア新秩序構想の模索と挫折』『ハックされる民主主義―デジタル社会の選挙干渉リスク』『日本国憲法の普遍と特異─その軌跡と定量的考察』などの出版物が評価された。

 

 贈呈式は来年1月12日17時30分から東京・千代田区の如水会館で開く予定。