日経BP『永守流 経営とお金の原則』 発売1カ月弱で5万部に

2022年2月1日

永守流_最終確定版表1のサムネイル

 

 日経BP発行の2022年初荷商品、『永守流 経営とお金の原則』が1カ月たたずに5万部の好スタートを切った。同書は日本電産会長永守重信氏が1986年に、他社から刊行した『技術ベンチャー社長が書いた体あたり財務戦略』をリニューアル。底本の内容をベースに、日本電産の強みであるM&A(合併・買収)を支える財務の考え方や、会社の急成長をどう経営者として指揮していくかを厚く加えて全面的に改稿した。全10章構成で「キャッシュこそ企業価値の源泉」「創業期の資金の集め方」など経営者がどのように財務戦略にとりくんでいけばよいかの指針を簡潔にまとめている。

 

86年に刊行された底本。ネット書店では10万円以上の価格で出品されている。

 

 きっかけは20年に永守氏が週刊金融情報紙『日経ヴェリタス』で受けたインタビュー記事。「この本(体あたり財務戦略)で書いているころから自分の哲学は変わっていない」と答え、取材記者と同書の再刊話で盛り上がり、日経BPの書籍編集者につながったことで企画が実現した。

 

 底本刊行の86年当時の日本電産は、京都の中堅企業で、永守氏が一町工場から興した気鋭のベンチャーだった。その後、株式公開を経て徐々に規模を拡大。90年代後半から不況に強く、M&A戦略に長けている優良ハイテク企業として知られるようになり、現在では日本の時価総額上位ランキングの常連企業にまで大きく成長した。編集担当の赤木裕介氏は、リニューアルした本は永守氏がその過程で得た「お金まわりの感覚が如実にあらわれており、創業間もない会社から大企業経営者まで学びがある」と話す。

 

2月に広告を集中投下

 

 同書は初荷商品として1月5日に取次搬入し、初版2万部だったが事前予約が多かったことから、発売前に1万部を重版。紀伊國屋書店パブラインによると、39~49歳男性が購入層の半分を占め、働き盛りのビジネスパーソンに支持されている。また日本電産は京都企業として絶大な知名度があることから、関西圏の書店チェーンや店舗でも実売がでて、話題となっている。

大垣書店 イオンモール京都桂川店の展開

 

 同社は2月を販促強化月間として集中的に広告を投下する。7日から13日までJR東日本の交通広告を掲出。11日には日経新聞で、他の交通広告商品と連合で同書を告知し、25日には同書のみ日経新聞全5段広告を出稿する。さらに16日から月末にかけて、JR西日本快速で交通広告を掲出する予定だ。

 

交通広告に掲出するポスター

 

 日経BP・出版マーケティング部の小谷佳央氏は「昨年の初荷商品は大ヒット。今年も初荷として、この本を当社一押しとして送り出した。5万部は通過点。10万部以上目指して販促を考えていく」。赤木氏は永守氏と並び称されることも多い京セラ稲盛和夫名誉会長の『稲盛和夫の実学 経営と会計』が20年以上版を重ねていることをあげ、「(永守氏の本も)20年以上読み継がれる決定版になれば」と話す。