第19回「学事出版教育文化賞」 最優秀賞は守山小学校・佐橋教諭「SECIモデルを活用した学級文化の共創」に

2022年1月31日

 学事出版が主催する第19回「学事出版教育文化賞」は、教育文化賞(最優秀賞)に名古屋市立守山小学校教諭・佐橋慶彦氏の「SECIモデルを活用した学級文化の共創」を選出した。1月に予定していた表彰式は、急激なオミクロン株の感染拡大に伴い「まん延防止等重点措置」が適用されたことから中止となった。

 

 教育文化賞のほか、優秀賞に鹿児島県立与論高等学校校長・甲斐修氏の「与論高校はなぜ定期考査と朝課外をやめたのか―『観点別学習状況の評価』の具現化を図る学校経営―」、奨励賞に津市立橋北中学校教頭・三輪辰氏の「持続可能な社会をめざす造形活動の展開―『エコ型ロボット工房』(図画工作科)―」が選ばれた。

 

 同賞は学事出版創立40周年を記念して、社会貢献事業の一環として全国の小・中・高・大学等のすぐれた教育実践を発掘・顕彰する目的で創設。教育にたずさわる個人、団体、学校を対象に、応募論文を審査して選定。選考委員は菱村幸彦(国立教育政策研究所名誉所員、元文部省初等中等教育局長)、亀井浩明(帝京大学名誉教授)、富所浩介(読売新聞東京本社論説副委員長)の各氏。

 

 例年60編以上の応募があり、その中から2度の選考会議を経て、教育文化賞(最優秀賞)、優秀賞、奨励賞等を選出。教育文化賞には賞状並びに副賞(賞金10万円・盾)、優秀賞には賞状並びに副賞(賞金5万円・盾)を贈るほか、受賞論文は、学事出版の雑誌に掲載されるほか、受賞論文をベースに書籍化されるケースもある。

 

 受賞各氏のことばは次の通り。

 

名古屋市立守山小学校教諭・佐橋慶彦氏

 

 ネット文化の広がりは子ども達にそれぞれの世界を与えました。教室には全く興味や価値観が違う子どもたちが集まります。そんな子ども達をつなげていくためには、互いの感情を丁寧に伝え合い、自分たちの考え方や過ごし方を創り出していくことが大切ではないだろうか。そのような思いから個人の気付きや経験を組織全体で共有し、蓄積していくSECIモデルを学級に取り入れました。

 

 利他行動の増加や、その背景に見られる価値意識の共有が明らかになったこと、そして子ども達が紡いだ数々の言葉に、実践の手応えを感じることができました。

 

 教室の子ども達との取り組みがこのような形で評価していただけたことを、とても嬉しく思っております。この受賞を励みに、今後とも教育実践の改善に努めたいと思います。

 

鹿児島県立与論高等学校校長・甲斐修氏

 

 中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、新しい時代の高等学校教育の実現に向けて、「特色化・魅力化」の推進が提言されています。各学校の取組は様々ですが、高等学校が本来果たすべき役割に鑑みれば、地域や生徒の実態を踏まえ、学習指導要領の理念を具現化しようとする取組の中でこそ、特色化や魅力化は結実していくものであると考えます。

 

 一方で働き方改革の推進も求められています。これからの学校経営には、生徒の成長にとって真に大切なものは何かを見極め、教職員が対話と議論を重ねながら、より良い方法を工夫できるような組織づくりが重要になっていきます。

 

 学校改革の途上にある本校にとって、今回の受賞はこの上ない励みとなりました。今後も教職員一丸となって、より良い高等学校教育の在り方を追求してまいります。

 

津市立橋北中学校教頭・三輪辰男氏

 

 エネルギー・環境問題という喫緊の課題に対して図画工作科に何ができるか―この問題意識に基づき、平成19年度から前任の小学校において様々な授業実践に取り組んで参りました。本実践は、その一環です。教科の特性を活かして社会問題に取り組むことにより、公教育としての図画工作科の存在意義と可能性を具体的に示すことができたのではないか、と自負しております。

 

 現在は小学生に指導する立場にはありませんが、近い将来、再び指導の機会が訪れることを期待して、今後も自身の授業理論の精緻化や授業プランの創出に努めて参りたいと思います。この度は、誠にありがとうございました。