新聞労連ジャーナリズム大賞 毎日新聞「特権を問う」に

2022年1月19日

優秀賞に沖縄タイムス、信濃毎日新聞

特別賞に北日本新聞、琉球新報、北海道新聞

 

 日本新聞労働組合連合(新聞労連)は1月18日、「平和・民主主義の発展」「言論・報道の自由の確立」「人権擁護」に貢献した記事・企画・キャンペーンを表彰する第26回「ジャーナリズム大賞」と第16回「疋田桂一郎賞」の授賞作品を発表した。大賞は毎日新聞「特権を問う」取材班の「特権を問う~日米地位協定60年」が選ばれた。優秀賞は沖縄タイムス、信濃毎日新聞の2件が、特別賞は北日本新聞、琉球新報、北海道新聞の3件が選出された。疋田桂一郎賞は共同通信に授賞する。

 

 新聞労連ジャーナリズム大賞は、新聞労連ジャーナリスト大賞として1996年に制定され、2012年に名称を変更。全国紙、地方紙を問わず優れた記事を評価し、取材者を激励するため顕彰している。疋田桂一郎賞は06年に新設され、「人権を守り、報道への信頼増進に寄与する報道」に対して授与される。

 

 今回は、昨年紙面化された記事などを対象に、応募があった14労組24作品から選定した(昨年の応募は40作品)。

 

 大賞に選ばれた毎日新聞の「特権を問う~日米地位協定60年」は、2020年に発効60年を迎えた日米地位協定。1度も改定されたことがない地位協定の問題を、徹底した取材で改めて掘り起こした。

 

 首都異常飛行編では、米軍ヘリが新宿上空でビルに近接した飛行を繰り返している事実を動画で捉え、ツイッターやYouTubeも活用して報道。米兵らの事件事故では群馬、神奈川、山口、沖縄などの関係者を記者が訪ね、遺族の肉声を伝えた。

 

 「紙面だけでなく、動画を撮影し、米軍ヘリがビルの間を抜けていく現実を見せる手法は効果的で、テロップなどの編集技術も秀逸。視覚にも訴える『今どきの編集』によってジャーナリズムの可能性を広げた。人が見える取材も尽くしており、『特権』の問題を多面的、立体的に浮かび上がらせた」と評価された。

 

 優秀賞は、「『防人』の肖像 自衛隊沖縄移駐50年(沖縄タイムス「防人」の肖像取材班)と、「五色(いつついろ)のメビウス ともにはたらき ともにいきる」(信濃毎日新聞社編集局「五色のメビウス」取材班)の2件。

 

 特別賞は、「神の川 永遠に─イ病勝訴50年」(北日本新聞社編集委員・宮田求氏)と、「航空自衛隊那覇基地から流出した泡消化剤(あわしょうかざい)に有害物質が含まれていることを突き止めた一連の報道」(琉球新報航空自衛隊泡消火剤流出取材班)と、「『核のごみ』の最終処分場選定に向けた全国初の調査を巡る報道」(北海道新聞核ごみ取材班)の3件。

 

 疋田桂一郎賞は、「長崎市の私立海星高いじめ自殺問題を巡る一連の報道」(共同通信社千葉支局・石川陽一氏)が選ばれた。