ステキコンテンツ 文芸作品特化の投稿サイト1 周年、新たな文学大賞を実施

2021年4月20日

ステキコンテンツ代表の中村航氏

 

 文芸作品を軸にメディアミックス事業を手がけるステキコンテンツ合同会社が運営する、文芸作品投稿サイト「ステキブンゲイ」が3月末で、昨年の開設から1周年を迎えた。新たに立ち上げた文学賞「第一回ステキブンゲイ大賞」には約1300作品が集まり、受賞作も決定。また、同サイトから作品を刊行する出版レーベル「ステキブックス」の第2作目『僕らは風に吹かれて』(河邉徹)が発売1週間で重版のヒット作となるなど、順調に事業を拡大している同社について、代表の中村航氏に話を伺った。

 

 同社は、小説家の中村航氏が立ち上げたコンテンツ制作会社。同氏はこれまで『100回泣くこと』(小学館)、『トリガール!』(KADOKAWA)など、映像化作品も数多く執筆しているほか、メディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』のストーリー原案・作詞等、幅広く手がけている。同社は、出版事業を行う「ステキブックス」や、楽曲制作などを手がける「ステキミュージック」などを構え、文芸作品をはじめ、さまざまなコンテンツの制作に取り組んでいる。

 

文芸作品に特化した投稿サイトを運営

 

 同社が運営する、小説投稿プラットフォーム「ステキブンゲイ」は、誰でも無料で小説を投稿、閲覧ができるサイト。ライトノベル等は扱わず、文芸作品を専門としているのが特色で、「文芸作品の市場規模が縮小していく中で、発表の場を設け、作品の多様性を広げていきたい」という中村氏の思いから、昨年の3月30日にスタートした。開始から1年で登録ユーザー数は3000人を突破し、今なお伸び続けている。

 

 サイトでは一般の投稿者だけでなく、プロの作品も読むことが可能で、同氏のほかにも、小説家のいぬじゅん氏らの作品を連載。書籍化も行っており、同氏の『叶わない恋を叶える方法』など現在2作品を刊行している(発行:ステキブックス/発売:星雲社)。

 

 また、公式YouTubeチャンネル「ステキチャンネル」で、「ステキブンゲイ」にまつわるコンテンツを毎日配信しているほか、書籍化作品のテーマソング、リリックビデオの制作なども行っている。小説という形式にとどまらない多彩な取り組みについて、中村氏は「コンテンツを広く発信することで、より多くの読者に文芸作品を届けるため」と話す。

 

レーベル第2弾が早くも重版

 

重版帯を巻いたレーベル第2作目の『僕らは風に吹かれて』(河邉徹)

 

 3月に刊行したレーベル2作目の小説『僕らは風に吹かれて』は、発売から1週間で重版を決定した。著者は、日本のスリーピース・ロックバンド「WEAVER」のドラム・作詞を担当する河邉徹氏だ。

 

 同氏はこれまでにも、第10回広島本大賞を受賞した『流星コーリング』(KADOKAWA)をはじめ、小説の執筆も行っており、4作目の今回は初めて、自身の本業である「バンド」をテーマにした小説を刊行し、話題となっている。

 

 以前から河邉氏と親交がある中村氏は、「2年ほど前、彼が創作活動を本格化していく中で、発表の場に悩み出した際に、自分も文芸作品の投稿サイトを立ち上げようか考えていたので、それなら一緒にやろうと当時から声をかけていた。今回、実現に至ったのは、彼らのような作家に創作の場を用意したいという気持ちにも、後押しされたおかげ」と語る。

 

新設した文芸作品大賞の受賞作も決定

 

▽第一回ステキブンゲイ大賞HP=https://sutekibungei.com/contest

 

 また、サイト独自の文学賞として「ステキブンゲイ大賞」を新設。約1300作品にのぼる応募の中から、優秀賞2作、読者賞1作が選ばれた(大賞は該当作なし)。いずれも書籍化に向けて動いているという。

 

 「ステキブンゲイ大賞」は第二回の開催も決定。中村氏は、「これまでの仕事で出会った仲間と協力し合いながら、コンテンツを一つひとつ作り上げている。それぞれの取り組みを通じて、小説を読んで、書くことの楽しさを伝えたい」と意気込みを見せる。