【編プロ特集】Pomalo DX時代の「デジタル戦略」と「編集」、事業成長に求められる編集力

2021年4月19日

代表取締役CEOの高橋氏

 デジタルコンテンツの企画編集・制作事業などを展開するPomalo(ポマーロ)は2016年、高橋崇之氏と澄川恭子氏によって設立された。代表取締役CEOを務める高橋氏は、06年からインターネットビジネスに携わり、マーケティングやEC関連の事業を経験、デジタル部門のコンサルティングなど、デジタル戦略に精通している。共同創業者の澄川氏は、婦人画報社に入社後、『ELLE Girl ( エル・ガール)』 の雑誌・WEB両編集長を歴任、ファッションアプリのコンテンツ責任者を務めた経験を持つ編集者だ。「デジタル戦略」と「編集」のプロが手を取り合い、多彩な挑戦を続けるDX時代のコンテンツ専門集団Pomaloを取材した。

 

編集×デジタルマーケティング

共同創業者の澄川氏

 

 デジタル業界に長く関わっていた高橋氏は、ネット上で類似サービスが溢れる中、「もっとオリジナリティーのある仕事がしたい」と考えていた。

 

 そこで、コンテンツ力を最新のテクノロジーやデジタルマーケティングと掛け合わせたいと思っていた澄川氏に声をかけた。マーケティングサイドを熟知した高橋氏と、編集者でありデジタルにも理解がある澄川氏の2人でしか立ち上げられない会社を作ろうとしたのが、創業のきっかけだった。

 

 東京都港区南青山にオフィスを構えるPomaloは、パートナー事業とプラットフォーム事業を展開。このほかにも、編集者による音声コンテツのプロデュース「編集者ラジオ」、自主出版レーベル「purezine(ピュアジン)」など、編集力を生かしたサービスに挑戦している。

 

プロジェクトの戦略設計を⽴てたうえでのコンテンツプラン ニング

 

 パートナー事業では、クライアントの事業改革をすすめるDXプロジェクトにコンテンツ面で支援。編集チームによるストーリーづくりを起点に、コンテンツ制作を通じてビジネスの課題解決を行う。

 

 編集者とプロデューサーがタッグを組み、オウンドメディアを中心に、さまざまなコンテンツ制作と運営、戦略策定・ストーリー設計からデザイン・システム開発まで、ワンストップで提供する。

 

コンテンツの貢献度を可視化

 

 プラットフォーム事業においては、ECサイト連携型の独自CMS「F-CMS」を提供し、商品の良さや特徴の紹介、スタッフのインタビューなど、オウンドメディアの記事制作を後押ししている。

 

 また、記事コンテンツの販売貢献度を可視化するウェブコンテンツ専⾨の解析ツール「CONTENTS ANALYST」も提供。特集ページ経由でどのような商品が売れたのかなど、⼀般的に使⽤されているサイト解析ツールGoogle Analytics(無料版)では計測出来ない機能が備わっている。

 

デジタル上でストーリーを紡ぐ

パートナー事業とプラットフォーム事業などを展開

 

 高橋氏は自社の強みについて、「デジタルマーケティングと編集力をセットで提供していることが、クライアントから評価されている」と話す。「デジタル中心の時代だからこそ、人間らしい感情をどれだけ大事にできるかが問われている。“エモい”や“コミュニケーション”を作れるのが編集の良さだ。しかし、仕組みやデジタルマーケティングが土台になければ、ビジネスとして成り立たない」と説明する。

 

 クライアントと共にカスタマージャーニーを策定し、コンテンツ公開後も読者へのアンケートやマーケティング分析をもとに、改善を図っていくのが同社の特徴だ。

 

 「今の編集コンテンツ業界は、納品することが最終目標となりがちだ。しかし、コンテンツは発表してからがスタートだと思う。生活者の反応を受けて、どういうふうにすればもっと良くなるのか、PDCAサイクルを回す時代となっている」と指摘する。

 

編集者のブランディング力、地域を活性化

 

 高橋氏は「さまざまなマーケティング施策で、編集力を生かすことによって、事業を成長させていく。そこにPomaloの根幹がある」と強調する。主観的なアイディアに依存するのではなく、ビジネス面においてもプロジェクトの成功が見込める施策でなければならないという。

 

津和野町(島根県鹿足郡) 編集者を派遣し、ふるさと納税の企画づくりを支援した

 

 Pomaloの力を借りるクライアントは企業に留まらない。昨年4月に総務省が推進する「地域おこし企業人(現、地域活性化起業人)」に基づき、津和野町(島根県鹿足郡)と協定を結び、編集者を派遣した。

 

 ふるさと納税の企画づくりなどを担当し、4〜6月の3カ月間はいずれの月も前年と比較して2倍以上の売り上げとなり、7月については9倍を記録。津和野町の「米作り」と貧困家庭を支援する「こども宅食」を組み合わせたクラウドファンディングを行うなど、さまざまな施策で前年を大きく上回る税収増という成果をあげた。

 

明日香村(奈良県高市郡) 担当編集者は澄川氏と中沢明子氏の2人

 

 さらに今年4月、明日香村(奈良県高市郡)とも協定を結び、「地域活性化起業人」として編集者を2人派遣した。生産者への取材および記事の執筆などを行い、編集者視点での新たな企画立案やブランディングによって村の活性化を図っている。

 

業界全体で挑戦し、コンテンツ価値の向上を

 

 Pomaloでは、業界を盛り上げるために編集者向けのメールマガジンを配信している。こうした取り組みについて、高橋氏は「業界全体を活性化するために、新たなチャレンジを続けていかなければならない。出版社や編集プロダクション業界の人達は全員が仲間だ。会社の垣根を越えて、多くの方に参加してほしい。コンテンツの本質的価値を高める活動を、業界の仲間たちと共に行っていきたい」と呼びかける。