福島民報社と東京新聞 東京、福島、福岡で写真展「3・11からの手紙/音の声」

2021年3月8日

LIQUIDROOMで開かれている東日本大 震災10 年特別企画での展示の様子

 

 福島民報社と東京新聞(中日新聞東京本社)は3月1日から、東日本大震災の発生から10年の特別企画「石井麻木写真展『3・11からの手紙/音の声』」を開催している。震災以降、毎月11日に被災地に足を運び、写真を撮り続けている写真家・石井麻木さんの作品とメッセージを展示。東京、福島のほか、3月末から福岡でも開く。

 

 石井さんは2011年から、被災地の福島、宮城、岩手の各地に通い続け、地震、津波、原子力災害の状況、その地で暮らす人々の姿を写し続けている。14年、写真とことばで構成された写真本『3・11からの手紙/音の声』を出版。大きな反響とともに、全国をまわり写真展の開催を続けている。

 

 今回の震災10年の特別企画は、東京会場がLIQUIDROOM2階「KATA」(東京・渋谷区)で3月1日から同14日まで、旧杉並区立杉並第四小学校(20年3月閉校)で同6日から28日まで開催している。

 

 福島会場は双葉町産業交流センター(同6日~同28日※予定)、道の駅猪苗代(同6日~同31日※予定)で、福岡会場は博多阪急5階(同31日~4月13日)で開く。全会場とも入場無料。

 

 各会場で展示している写真は、これまで撮ってきた何十万枚の中から厳選した80点(福島会場は70点)。各地の被災状況や復興の様子をとらえた写真のほか、被災地のステージなどで歌うミュージシャンの姿を写した写真もある。その写真それぞれに、石井さんやミュージシャンが新たに書き下ろしたメッセージが記されている。

 

 東京会場で文化通信の取材に応じた石井さんは、「(撮影した時の)被災地の状況や人々の心情を、写真1枚だけでなく文字にしても伝えたい」という思いから、写真とことばで見せる震災の写真展を続けていると語る。

 

 この10年、被災地を毎月訪れる中で、地元の人々との強いつながりが生まれている。「いろいろな場所に『家族』ができた。会いたいから『帰る』」という。

 

 震災10年の節目を迎えたが、「1日、1週間、1年、10年と大切な日々がずっと続いている。これからも変わらず現地に通い続けたい」と思いを強くしている。

【増田朋】