KADOKAWA まんが学習シリーズ『世界の歴史』を刊行、最先端の「グローバル・ヒストリー」で横のつながりを分かりやすく描く

2021年2月18日

2月25日に全20巻刊行

 

 KADOKAWAは2月25日、角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』(全20巻)を刊行する。同シリーズの監修は東京大学の羽田正名誉教授が務め、世界史教育の最先端「グローバル・ヒストリー」という歴史理解の方法で、その時代に起こったことを分かりやすく描いている。この刊行を前に羽田名誉教授が「文化通信」のインタビューに応じ、歴史の「横のつながり」をつかむことの重要性や、この本を読んだ子どもたちに身につく能力などについて語った。 

  【増田朋】

 


 

KADOKAWA 創業75周年の記念事業

 

 KADOKAWAは創業75周年記念事業として、今回の『世界の歴史』全20巻を刊行する。同社は2015年6月に角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』を刊行。5年連続で売れ行きも好調の中、20年度からの新学習指導要領に基づき、最新情報にアップデート。累計部数も600万部を突破した。

 

 同社によると20年は特に好調で、年間売り上げが対前年比130%、「全巻セット」も年間で2万セットを販売した。

 

東大・羽田名誉教授が監修

 

 読者や書店からの要望も多かった今回の『世界の歴史』では、『日本の歴史』で支持された「東大流」を採用し、歴史の大きな流れをつかむ工夫を満載している。

 

 世界史が専門で、現在は東京大学大学執行役・副学長、東京カレッジ長を務める羽田名誉教授の監修によって、全20巻を年代で区切り、同時代に世界各地で起きたことを多角的に語る「グローバル・ヒストリー」で、その時代に何が起こったのかを、分かりやすく伝えている。

 

 羽田名誉教授は「グローバル化が進む現代では、ヨーロッパなど各地域や各国に分けて語る『縦の世界史』に加えて、世界全体を視野に入れて物事を見直す『横の世界史』の重要性が高まっている」と説明。「世界全体という枠組みで過去の出来事を見直してみると、違った解釈、別のつながりが見えてきたりする」とその必要性を指摘する。

 

 現在、東大の入試問題や実際の歴史研究の場で重視されているのは「歴史の大きな流れをつかむ」ことだという。同シリーズはそれに加えて、歴史の「横のつながり」を分かりやすく伝えることに主眼を置いて作った。

 

 例えば、特定の年代で世界を「輪切り」にして1枚のイラストで表現した「パノラマ世界地図」を全巻に収録している。また、各巻の冒頭にある「保護者の方々へ」のコーナーや、その巻に出てくる重要人物が登場する「もしもまんが」でも、過去の歴史がその時代の横にも、そして現代にもつながっていることを示している。

 

「まんがで歴史のストーリーを知る」

 

 『世界の歴史』の発売に先立ち、司書教諭志望の大学生にアンケートを実施。「内容のレベルの高さに驚いた」「世界史を勉強し直したい大学生や大人でもきちんと学べる教材だ」など、評価するコメントが寄せられた。

 

 羽田名誉教授は「ストーリーを追って過去を理解することが重要。まんがには教科書にはないストーリーがあり、それを頭に入れたうえで教科書を読んでみると、ばらばらに見えていたさまざまな細かい事象も、簡単に理解できるようになる」と考える。

 

 「だから受験にも役立つ。例えば、大学受験をする学生がこのシリーズを読んでから教科書を開けば、よりすっきりと頭に入っていくだろう」と薦める。

 

受験生、大人にもお薦め

 

 また、「『世界の歴史』では新しい過去の見方を提案しているので、今の自分が生きている世界を相対的に見るためにも、ぜひ大人にも読んでほしい」との思いも強く持っている。

 

 「過去のいろいろな人たちの考え方や議論があり、今の世界がある。それを理解したうえで今起こっている問題の解決などにあたった方が、より正しい方向に議論や提案が導かれるのではないか。そういった強い『人間力』が、この本によって身につく」と考えている。

 

角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』=刊行予定日:2月25日/対象学年:小・中・高校生~(新学習指導要領対応)/四六判ソフトカバー・総ルビ/各巻224㌻(資料13㌻、カラーまんが21㌻、モノクロまんが187㌻)/各巻:本体950円、全20巻セット:本体19000円