法務省の作文コンテスト 藤井怜子さん(兵庫県 姫路市)、 全国8万人から最優秀賞

2021年2月5日

日本一の作文を書いた 怜子さん(手には法務 大臣賞トロフィー)

 

 法務省が主管する「第70回『社会を明るくする運動』※作文コンテスト」で、兵庫県姫路市の森井書房・森井宏和社長の孫で中学2年の藤井怜子さんが、書店の万引きについての思いを書いた作文「見逃さないで!『助けて』のサイン」が中学生の部全国8万人以上の応募の中から最優秀の法務大臣賞に選ばれた。

 

森井書房・森井社長「自慢の孫、将来楽しみ」

左から森井社長、藤井怜子さん、母の由希子さん、祖母の森井みちよさん

 

 怜子さんは華道、茶道、さらに競技かるたに打ち込み、学校では生徒会長も務める。成績はオール5で、学年(約200人)では常にトップクラスだという。

 

 昨夏、学校の先生から兵庫県のコンクール出展のため、怜子さんはじめ、作文が得意な複数の生徒が声をかけられた。

 

書店の万引きテーマに綴る

 

 怜子さんは、家族から聞いた自店における万引き被害の実態を綴り、「万引きをする子の多くは家庭に問題がある」、「万引きは心のSOS」、「更生する力は家族しか持ち得ない」など自身の考えを表現した。また、実体験から家庭での読み聞かせの重要性を説き、「親子の絆が深まる。大人の温かい眼差しや豊かな愛情が子どもの心身を健康にし、明るい社会が築ける」と結んでいる。

 

 これが兵庫県知事賞を受賞し、法務省のコンテストにも出展することに。全国8万2941点の応募作から見事、最優秀賞に輝いた。怜子さんは文化通信の取材に「万引きはもちろん悪だけど、親にも大きな非がある」と主張し、「追い詰められて構ってほしい最後の手段として『犯罪』に行き着く。家が本屋なので憎い部分もあるけど、かわいそうという気持ちが強い。そんな子が少しでも減ってくれれば」と作文に込めた思いを話してくれた。

 

 森井書房は、怜子さんの祖父母の森井宏和、みちよさんが1968年に創業。母の藤井由希子さんも店を手伝い、怜子さんは本に囲まれた環境で育った。同店で毎月催される「おはなし会」にも幼少期から参加していた。家族に読み聞かせをしてもらった印象深い作品は「みんなの聖書絵本シリーズ 全36巻」(日本聖書協会)。最近読んだ本でお薦めは『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)だという。

 

読み聞かせは教育の最適ツール

 

 今回の受賞について森井社長は「法務大臣賞と聞いて賞の大きさに驚いた。将来、作家になるのか、学者になるのか楽しみ。まさに自慢の孫」と目を細め、母の由希子さんは「彼女を通して書店が抱える問題や家庭環境について発信できたことは、大人が発信するよりも説得力がある。読み聞かせがいかに有効かも触れてくれて、私たちの教育が間違っていなかったとうれしかった」と語っていた。

 

 父親が講師として勤める学習塾では中学の勉強はクリアして高校生と学んでいる。小学6年のときには姫路市の詩のコンクール「有本芳水賞」でも最優秀賞を受賞するなど才能あふれる怜子さん。将来については「まだ文系が得意か、理数系が得意かもよくわかっていない。何にでもなれるようにこれからも本をいっぱい読んでしっかり学んでいきたい」と前途洋々の未来を見据える瞳はきらきら輝いていた。

 

怜子さんの作品 http://www.moj.go.jp/content/001336420.pdf

【堀雅視】

 

 


※「社会を明るくする運動」=犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合わせて犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動