新潮社 書籍『スマホ脳』が話題に、スマホの悪影響に社会的関心

2020年12月21日

『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳)

 

 新潮社が11月18日に邦訳版を刊行した、スマートフォンによる教育への悪影響を示す書籍『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳)が発売直後から異例の大反響となっている。同社によると、発売わずか1カ月で5刷累計11万部に達した。これからの教育現場で、紙に印刷された活字とデジタルのバランスの重要性を指摘する新聞業界でも、話題の書となっているようだ。

 

 2019年にスウェーデンで刊行された『スマホ脳』は、脳科学的見地からスマホが脳に与える恐ろしい影響に警鐘を鳴らした1冊。スウェーデン国内でベストセラーとなり、世界13カ国に版権が売れたという。

 

 同書では、「最新の脳科学の膨大な実験結果をもとに、次々と恐るべき事実が明らかにされている」。例えば、500人を対象に「スマホをサイレントモードにしてポケットに入れた被検者」と、「別室に置いた被検者」の記憶と集中力を測る実験では、後者の方が良い成績に。同じ現象は他の複数の実験にも見られた。

 

 ほかにも、▽先進諸国で爆発的に増加する睡眠障害とスマホの関係▽現代人は平均して1日に2600回以上もスマホを触っている▽SNSは脳の報酬中枢を煽り、依存性はヘロインに匹敵する▽1日2時間を超えるスマホ使用は、うつのリスクを高める▽タブレット端末での学習効果は紙の教科書より著しく劣る―などの実態と、具体的な対応策が示されている。

 

□新書判/256㌻/本体価格=980円

【増田朋】