池田書店 営業部発企画でヒット続出、アサヒビール本が初版2万7000部

2020年11月24日

『アサヒビールのズバうま!おつまみ』

 

 池田書店営業部が企画立案した単行本からヒット作が続いている。11月20日配本の『アサヒビールのズバうま!おつまみ』は、事前の書店注文が相次ぎ、初版2万部に追いかけ重版7000部を上積みし、2万7000部からスタート。さらに、営業部が復刊を持ち掛け刊行した、『新版お灸のすすめ』は4刷2万3000部まで伸長している。

 

 同社の新刊点数は年間およそ60点で、営業部発の企画は、1万5000部以上からスタートする大型企画として、今年度から始動。3本ほど立案し、投票によって決定する。『アサヒビール~』は、アサヒビールのホームページ「ズバうま!おつまみレシピ」で更新している、簡単つまみを書籍化。

 

野口部長(左)と巨大拡材を抱える山城係長

 

 池田書店のお酒好きな大阪営業担当者が、同ページをチェックしていたことから企画が生まれ、投票においても最も票数を集めたという。

 

 営業部発で企画案を出す際、心がけているのは既存の類書本は出さないこと。同社・営業部の野口英之部長は「好調な他社本の類書を出したからといって、必ずしもいい結果が出るものではない」とし、同・山城恵子係長も「オリジナルに近い本を出す方が弊社には合っている。実際に後発よりも、今までなかったものを出す方が実績につながる」と話す。

 

 企画の発案は、書店からの情報が多く、実用書分野でのマーケティングリサーチはもちろん、YouTubeやSNSで流行っているテーマなどをチェックしているという。

 

 『アサヒビール~』では、アサヒビールに親しんできた、中高年齢層のサラリーマン向けに、カロリーや糖質も表記。料理が得意でなくても、3ステップ程度でできてしまう簡単レシピを掲載しており、お酒をおいしく飲むためのコラムもつける。

 

 同社はこれまでにも飲料メーカーのカルピスと制作したコラボ本『カルピス社員のとっておきレシピ』が9万部のヒット、ヱスビー食品とのコラボ『S&B社員のとっておき 赤缶カレー粉レシピ』も手掛けた。

 

 他にも、『おつまみ横丁』『〆まで楽しむおつまみ小鍋』など、おつまみ本のヒット作もあり、売り方のノウハウも蓄積してきた。

 

巨大拡材を使った展開事例

 

 飲食にかかわる業種とのコラボ本で重要となる、書店店頭施策では本の隣にPOPやパネル以外にも店頭で目を引く販促物をつくってアピールする展開を広げてきた。

 

 今回も50冊以上注文の書店には高さ50cm近くあるアサヒビール缶をそのまま模した拡材のほか、ディスプレイ用ビール缶を縦に重ねて陳列できる拡材を用意している。

 

復刊のお灸本、4刷と好調

『新版お灸のすすめ』(お灸普及の会編著)

 

 また、10月に刊行した『新版お灸のすすめ』(お灸普及の会編著)は、書店からの要望をうけ営業部が復刊を要望。旧版は12年6月刊行で、4万4000部まで伸ばした後、品切重版未定となっていたが、冬になると必ず「あの本はないのか」との問い合わせがあったことから復刊を決定。

 

 サンプル用のお灸をつけたところ、一気に売れ行きが加速。三省堂書店神保町本店では毎週のように売上ランキング上位に入っており、初版1万部でスタートした後、現在は4刷2万3000部まで伸ばしている。

 

 同書には、老舗大手のせんねん灸がサンプル商品を提供し、池田書店が自社物流を使って、ビニール袋で梱包した状態で書店に送品している。「雑誌やムックなどの付録商材に見られる既製品のようなものではなく、後から封入した手作り感」(野口部長)が手に取られやすい理由のようだ。「女性実用書コーナーでは、東洋医学や免疫力向上が注目されており、自分の体の状態をどう整えるかという切り口のフェアが、季節の変わり目ごとに訪れ展開されていることから、お灸のニーズ高まっているのでは」と話している。

 

お灸サンプル付きのお問い合わせは、池田書店営業部03―3267―6821まで