ポプラ社 日本絵本賞受賞の『ぱんつさん』 著者・田中さんを表彰

2020年9月14日

左から全国学校図書館協議会・設楽代表理事、著者の田中氏、ポプラ社・千葉社長

 

 お笑い芸人で漫画家の田中光(たなかひかる)さんが書いた初の絵本『ぱんつさん』(ポプラ社)が、第25回日本絵本賞(公益社団法人全国学校図書館協議会主催)を受賞したのを記念して、その贈呈式が東京・千代田区のポプラ社内で行われた。

 

 受賞した田中さんは、㈱グレープカンパニー所属のお笑い芸人。漫画家としても活動しており、『サラリーマン山崎シゲル』シリーズ(ポニーキャニオン)や、『レタス2個分のステキ』(小学館)などの著書がある。

 

 『ぱんつさん』の編集を担当したポプラ社の児童書児童局第二編集部の花立健編集長は、ユーモアと哀愁がないまぜになった作風から、田中さんを「令和の長新太先生になれる人」と評し、出会いから出版に至った秘話などを披露した。

 

 続いてあいさつした田中さんは、「賞というものは頭の片隅にもなかった」と驚きを隠さず、「変なものをつくりたいという制作意欲を、全力でサポートしてくれた」と、改めて謝意を表した。

 

 絵本を手掛けるきっかけについて、「普段から浮かぶアイデアを、これは漫画にしたほうがおもしろいな、これは漫才にしたほうがおもしろいなと考える中で、これは絵本にしたほうがおもしろいんじゃないかという発想だった」と明かした。

 

『ぱんつさん』(ポプラ社)

 

 『ぱんつさん』の制作には「驚かせたいという気持ちが第一にあった」と言い、「おもしろ要素、不思議な要素、不気味な要素などを詰め込んで、子どもたちが喜ぶような配合にした」と紹介。次回作は「めちゃくちゃシンプルなものを作りたい」とし、『ねこいる?』(仮題)の構想を披露した。

 

 贈呈式には、海外展開を見据えて英訳を担当したという芸人・ギャビンさん(まかろにステーション)も駆けつけ、花束を贈呈した。

 

 また、サプライズゲストとして、事務所の先輩であるサンドウィッチマンからのVTRコメントも上映された。

 

 サンドウィッチマンの伊達みきおさん、富澤たけしさんは、「案を出したのは僕」「大した本じゃないと思う」などと話して会場を笑わせつつ、日本絵本賞受賞という芸人初の快挙を成した後輩芸人を「大したもの」と祝福した。

 

 全国学校図書館協議会・設楽敬一代表理事は、新型コロナウイルス感染症対策のため、今回の日本絵本賞の最終選考会が延期され、表彰式も中止となったことを説明したうえで、この贈呈式の開催に至る関係者の尽力に感謝した。

 

 また、来年開催の第26回からは賞をリニューアルし、「ポップ交流サイト」の開設など、さらなる絵本読書活動の推進を図るための仕掛けを用意していることが伝えられた。