小学館児童出版文化賞 「さわるめいろ」シリーズ、『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』に決まる

2020年9月11日

 小学館は9月10日、第69回「小学館児童出版文化賞」の最終選考会を行い、受賞作を村山純子氏の「さわるめいろ」シリーズ(小学館)、椰月美智子氏の『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(小峰書店)に決定した。

 

 受賞者には正賞としてブロンズ像「わかば」、副賞として賞金100万円を贈る。なお、新型コロナウイルスの影響を受けて贈賞式は延期となった。

 

 「小学館児童出版文化賞」は、児童出版文化の向上に貢献すると認められる作品および作家を毎年選定し、顕彰している。第69回は、2019年4月から20年3月までに発表した絵本、童話・文学、その他の出版物(翻訳・キャラクター・コミックスなどは除く)で、幼年ならびに少年少女に推薦したい優れた作品を対象として、事務局内に予選委員会を設け、選考にあたった。

 

 選考に先立ち、審査委員・作家・画家・写真家・各出版社・新聞社・児童文化団体・図書館・書店・読者からの推薦を募った。それに事務局が収集した作品を加えて、予備選考を行い、候補作を11作品に絞った。最終選考会の審査委員は荒井良二、今森光彦、鈴木のりたけ、富安陽子、森絵都の各氏が担当した。

 


 

「さわるめいろ」シリーズ

『さわるめいろ』(小学館)

 

【概要】

 盛り上げ印刷を指でたどりながらゴールまで進む、めいろあそび。簡単なものから難しいものまで、さまざまなレベルのめいろを収録。目の見える子も見えない子も一緒になって楽しめる。

 『さわるめいろ』『さわるめいろ2』『さわるめいろ3』の3冊が発刊され、「産経児童出版文化賞大賞」「ミュンヘン国際児童図書館ホワイト・レイブンス」「IBBY障害児図書資料センター推薦図書」をはじめ、内外の数々の賞・選書に選ばれている。

 

 

【プロフィール】

村山純子(むらやま・じゅんこ)氏

 ブックデザイナー。群馬県出身。 1979年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。78~81年、岡本忠成氏のアニメーションスタジオで美術を担当。6年のデザイン事務所勤務を経てフリーランスとなり、主に児童書のブックデザインを手がける。

 担当した書籍は、「小学館の図鑑NEOシリーズ新版/動物/植物/魚/星と星座ほか」、『校庭のざっ草』(福音館書店)『ゆきのけっしょう』(岩崎書店)など。

 


 

『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』

『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(小峰書店)

 

【概要】

 拓人は、仲問の宇太佳、忍といっしょにスケボーするのが大好きな小学6年の男子。ところが、いつも遊んでいた公園がスケボー禁止になり途方に暮れることに。あきらめきれない三人は、スケボーができるとっておきの場所を見つける。そして、そこで出会った田中さんというおじいさんとの交流がはじまるのだが……。毎日小学生新聞(2018年10月~19年1月)で連載。

 

【プロフィール】

椰月美智子(やづき・みちこ)氏

 1970年、神奈川県生まれ。 2002年、第42回「講談社児童文学新人賞」を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』(講談社) で第45回「野間児童文学賞」、08年に第23 回「坪田譲治文学賞」、17年『明日の食卓』(KADOKAWA) で第3回「神奈川本大賞」を受賞。

 その他の作品に『るり姉』『14歳の水平線』(双葉社)、『その青の、その先の、』『体育座りで、空を見上げて』(幻冬舎)、『緑のなかで』『未来の手紙』(光文社)、『つながりの蔵』 (KADOKAWA)など多数。