ライツ社『おうちで作れる世界のレシピ』 全文公開で話題、重版8刷3万2000部を突破

2020年5月7日

無料公開で話題となっている『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』

 

 ライツ社は新型コロナウイルスの影響で、多くの人が自宅で過ごす時間が増えていることから、4月16日に『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』の全文を無料公開した。公開した記事はインターネット上で話題となり、書籍の売り上げにも好影響を与え、4月20日に2000部を重版。テレビや新聞などメディアからの問い合わせも相次ぎ、発行部数は8刷3万2000部を突破した(5月1日現在)。

 

 同社・大塚啓志郎社長によると、全内容を無料公開するきっかけとなったのは、ある書店員がTwitter上に投稿した「旅行ガイド本と外国料理の本を置いたら良く売れた」との“つぶやき”だったという。全国的に外出自粛が続く中、自宅で旅行気分を味わいたい読者が「旅行ガイド本」を購入していると見られ、相乗効果を狙って「外国料理の本」を置いたところ、売り上げが好調で、特によく売れた本として同書が紹介されていた。

 

ウェブ公開で重版、紙の本の需要を実感

 

 文化通信社の取材に対し、大塚社長は「出版社として、すこしでも自宅で過ごす時間が楽しくなれば・・・・・・という思いで行った全文公開だったが、ウェブの記事を見ていただいた方の中に、紙の本を買ってくださる方が予想以上に多くいた。その結果、重版できたことで、改めて紙の本の需要を実感するとともに、緊急事態の中で、生活に貢献できる本を届けられていることをとても嬉しく思う」と述べた。

 

 また、書店員や読者に向けては「アイデアのきっかけは、平時とは異なる状況の中でも、創意工夫を凝らしていらっしゃる現場の書店員さんのつぶやきでした。本当にありがとうございます。著者の本山さんがこの本に込められた『料理で世界を平和にしたい』という想いがたくさんの人に届き、すこしでもみなさんの毎日が明るくなれば幸いです」とコメントした。

 

 なお、同社がコンテンツプラットフォーム「note」に投稿した記事「スーパーの材料で作れる!『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』」は、今のところ無料公開の期限を決めていない。

 

1ヵ国につき1つの料理を紹介

 

 同書および無料公開記事では、1ヵ国につき1つの料理を紹介しており、「オレンジジュースに漬けたローストチキン」(ジャマイカ)や「豚肉のオレンジ煮込み」(ハイチ)などのレシピをオールカラーで掲載。新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が続き、外食をする機会がない中でも、料理の「楽しさ」そのものを味わえる一冊となっている。

 

 著者の本山尚義氏はフレンチレストランでの修行後、世界30カ国を巡った「旅するシェフ」。2017年にクラウドファンディングで400人以上から支援を受け、同書を出版し、第5回「料理レシピ本大賞2018」料理部門の特別選考委員賞にも選ばれた。

 

□A5判並製/定価1600円判型/240㌻