電通グループ 新型コロナ感染拡大、広告需要落ち込み「影響回避は難しい」

2020年3月30日

 電通グループは3月25日、新型コロナウイルス感染症による同社グループへの同日時点での影響について発表した。2020年12月期の連結業績予想について、新型コロナウイルスの感染拡大で広告需要が落ち込む影響を回避するのが難しくなっているとしたうえで、今夏に開催される予定だった東京オリンピック・パラリンピック競技大会が1年程度延期されることもあり、想定していた事業環境が激変する中、業績等への影響を評価中であることを明らかにした。

 

 新型コロナウイルスの感染症については、1月下旬に中国大陸で感染拡大が確認されて以降、日本国内でも感染拡大が進行している。

 

 業績への影響については、同社グループを含めた広告会社の業績が、景気によって広告支出を増減させる広告主が多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があると指摘。

 

 特に、新型コロナウイルス感染症の拡大は世界規模でマクロ経済に影響を与えており、企業や団体などによるイベント等を含む広告コミュニケーション活動にも、中止や延期による影響が生じ始めているとし、「東京に本社を置きながら、145以上の国・地域で事業を展開しており、影響を回避することは難しい」との考えを示した。

 

 そのうえで、同社グループの20年1~2月の業績はほぼ順調に推移したが、「3月以降は、国内外で新型コロナウイルスの感染症の拡大・対応に伴うあらゆる状況の変化により、世界各国で当社グループの業績への影響が懸念される」と強調。

 

 具体的には、国内・海外を問わず、広告支出額の大きい産業部門(自動車業界や飲料業界など)の事業環境の変化が、同社グループの業績に影響を与える可能性があるとしている。

 

 それに加えて、3月24日、IOCらが東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を延期し、21年夏までに開催することで合意したことを発表。

 

 「当社は延期決定に関するものをはじめとして、国内や世界各国・地域で個別に発表された新型コロナウイルス感染症へのさまざまな対応方針の詳細について確認し、20年12月期の連結財政状態および連結経営成績への影響を評価中」であることを明かし、「2月13日に公表した20年度通期連結業績予想の前提となった事業環境とは大きく異なってきているので、業績等への影響が判明した時点で速やかに知らせる」とした。