LINE・日テレ・アニプレックス 文学賞 『第1回令和小説大賞』受賞作品を決定

2020年3月3日

「第1回令和小説大賞」応募総数は累計で4440作品

 

 LINEと日本テレビ放送網(日テレ)、アニプレックスの3社は3月3日、「第1回令和小説大賞」の大賞作品および受賞作品を発表した。大賞受賞作品に遊歩新夢「星になりたかった君と」が選ばれた。賞金として300万円を贈呈するほか、大賞受賞作品の映像化や書籍化も決定している。

 

 「賞金10万円」および「作品の書籍化」を贈呈する選考委員特別賞には、谷山走太「負けるための甲子園」、エフ「なぜ銅の剣までしか売らないんですか?」の2作品が受賞した。

 

応募テーマのないオールジャンル文学賞

 

 「第1回令和小説大賞」は、LINE・日テレ・アニプレックスの3社が、新たな才能を発掘することを目的としたオールジャンルの文学賞。応募テーマは無く、純文学・エッセイ・ファンタジー・ミステリー・ノンフィクションなど、ジャンルや表現方法は自由となっており、既存の枠組みにとらわれない、新しい時代にふさわしい才能を、世の中に発信することを目的としている。

 

 2019年4月16日からの作品受付開始以降、応募総数は累計で4440作品。最終審査は、ストレートエッジ・三木一馬氏、日テレ・植野浩之氏、アニプレックス・高橋祐馬氏など、ドラマやアニメ、小説など映像・出版業界の第一線で活躍する各業界のプロフェッショナルが行った。

 

 LINEノベル統括編集長でもある三木氏は、大賞受賞作品「星になりたかった君と」について「映像としても美しく映えるビジョンが浮かびます。その可能性を自分は評価しました」と講評している。なお、今回受賞した3作品を含む「第1回令和小説大賞」の応募作品は全て、小説アプリ「LINEノベル」で読むことができる。

 

【鷲尾昴】

 


 

「第1回令和小説大賞」大賞受賞作品

 作品名:「星になりたかった君と」/ 著者名:遊歩新夢

 

〈審査員からのコメント〉

 

 ストレートエッジ代表取締役 三木一馬氏(LINEノベル統括編集長)

 あくまで相対的に、という断りの上での話ですが、『文章力』や『ストーリー構成』、『キャラクターの描写』といった各要素が、他作品に比べ特出するほど高いわけではありませんでした。しかし、本作の全体評価を自分は高くしました。

 

 その理由は、今ある作品の背後に続く空間の広さ、つまり伸びしろがあると感じたからです。編集者的に表現すると『改稿したらさらに面白くなりそうな作品』ということになります。もちろん、今の内容がつまらないわけでもありませんし、他よりも劣っているわけでもありません。

 

 現段階の作品としても価値があり、さらに『素材』としても優れたものを持っている、ポテンシャルの高い作品だと思いました。具体的には、いわゆる難病少女モノに天体観測を掛け合わせたストーリーをベースとして、より作者の意図を表現すべく演出を強化していけば、さらに本作の魅力が発揮されるはずです。

 

 映像としても美しく映えるビジョンが浮かびます。その可能性を自分は評価しました。

 

 

日本テレビ放送網 プロデューサー 植野 浩之氏

 LINEというメディアならでの小説とは何か?多くの人々と共有し、共感出来るものではないか。この作品はその価値に見合った作品だと思いました。

 

 また映像ビジネスをやっているプロデューサーとしての見方になってしまいますが、一番映像化した際の絵が見えてきた作品になります。映像化した際の「演出表現の拡がりを感じる作品」でもありますので、これからの展開が楽しみです。

 

 

アニプレックス プロデューサー 高橋 祐馬氏

 何に価値を見出すかは時代と共に変化します。昭和は結果、平成は過程、令和は存在。存在という価値は、つまり誰かに関心を持って、その人を認め、受け入れることで生まれます。

 

 本作『星になりたかった君と』は、令和という新時代ならではの“存在承認”という価値観を強く感じた作品で、小説として面白いことと共に、令和を冠する小説大賞として選出した理由の1つがそれになります。“共有”の描写に心を動かされたのも今の時代らしくて好きです。一方、あえてコメントさせて頂くと、小説としてもっと面白くなる余白があり、編集者さんからのアドバイスで更に輝く可能性のある原星の様な小説でもあると感じました。

 

 これから、本作という存在が、出版という過程を経て、多くの人を感動させる星になるという結果を願っています。

 

 

LINE株式会社 執行役員 森 啓

 まずは、第一回令和小説大賞にたくさんのご応募をいただき、ありがとうございます。どの作品も力作ばかり、とても楽しく選考させていただきました。令和という時代に、LINEノベルは始まりました。ユーザーの皆さんの創作が世界とつながるというコンセプトを持っています。

 

 大賞となった作品の世界観でもそういった世界との繋がりが非常にうまく描かれており、今後我々もそういった世界、そういったサービスを作りたいと感じました。なかでも、作品が終盤に差し掛かっていく中での繋がりの高揚感は群を抜いて素晴らしかったです。

 

 映像としても観てみたいと強く感じたことが、この作品を大賞に決定づけるポイントとなりました。小説だけでなく、映像としても令和を代表するような作品をこのプロデューサー陣と作っていければと思っています。