童心社『へいわって どんなこと?』 9年前に刊行もテレビ番組きっかけに重版 累計11万部に

2020年2月7日

書店などに掲出しているポスター

 「平和」について考える絵本、テレビ番組をきっかけに再脚光――。紙芝居や児童図書出版を手がける童心社が、2011年4月に刊行した絵本『へいわって どんなこと?』(本体1500円、B5変型判、36㌻)の反響が広がっている。

 

 刊行当初からコンスタントに売れ続けてきたが、年明け1月17日に放送された朝の情報番組「あさイチ」(NHK総合)で作者の絵本作家・浜田桂子さんとともに紹介されると、ネットや書店で品切れが続出。テレビ放送に関連する重版は5回、計2万500部にのぼったが、この大反響で、累計も11万部に達している。

 

 

 

 浜田さんが書いた『へいわって どんなこと?』は、日々の中にあるあたり前のことから、「平和」について考えることができる絵本。戦争など辛くて悲しい話でなく、「平和」のすばらしさを子どもたちに伝えている。

 

 約15年前、浜田さんら日本人作家が中国、韓国の作家に呼びかけ、連帯して平和のために絵本をつくることを提案。同作は「日・中・韓 平和絵本」シリーズの第一期として、11年に刊行された。

 

 国を超えて作家同士が交流し合いながら絵本を作り、それぞれの国で、それぞれの言語で出版するという取り組みは、当時から大きな話題となり、シリーズは全10巻を数える。

 

 NHKの「あさイチ」は、午前8時15分から9時54分までの情報番組。これまでも絵本について取り上げる放送はあったという。童心社販売部広告宣伝グループの花島文奈氏によると、番組では20分以上をかけて作品の成り立ちや内容、平和絵本プロジェクトとして取り組んだ思いなどが語られた。浜田さん自身が実際に、本を読むシーンもあった。

 

 花島氏は「絵本ができたあとの各国の子どもたちとの交流なども紹介され、浜田さんの子どもたちに対する温かなまなざしや、絵本に込めた大切ないのちへの想いが、視聴者の方にダイレクトに伝わったのだと思う。政治面などで緊張が続く中、平和やいのちについて子どもと向き合っていきたいという皆さんの想いと重なったのでは」とみる。

 

反響受けてさらに重版 「書店での展開」期待

 

『へいわって どんなこと?』

 

 放送に備えた重版もしていたが、放送中にネット書店で品切れになり、全国の書店でも放送直後の午前中から売れ続け、こちらもすぐに品切れ状態になったという。

 

 「まさかこんなにという異例の反響で、社内でも驚きだった。2月はじめから再び重版でき、各書店に行き渡り始めている」と花島氏。近年の不安定な国内外の情勢を背景に、子どもたちに「平和」のすばらしさを考えたり、伝えることができるこの絵本が、9年の時を超えて改めてクローズアップされた形だ。

 

 花島氏は「各書店でも、児童書やそれ以外の話題書のコーナーなどで、ぜひ長く展開していただきたい。テレビ番組で話題になったことが分かるように、浜田さんの顔を出した帯やポスター、POPも用意している」と呼びかけている。