【特集】楽天ブックス「防災関連本ランキング」 女性・親子向けやペットの防災ニーズも高まる

2019年9月5日

 

 楽天が運営するオンライン書店「楽天ブックス」は、防災意識が高まるこの時期に、2017~19年の売り上げデータをもとに「防災関連本ランキング」を発表しました。防災関連本の需要は年々高まっており、17年と18年の売り上げを比較すると、約6倍に伸びていることが分かりました。どのような「防災関連本」が売れているのか、見ていきましょう。

 


 

自衛隊/防衛省監修『自衛隊防災BOOK』が人気

女性・親子向け、ペットの防災への需要も高まる

 

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 17年から19年7月31日までの「防災関連本ランキング」(※1)をそれぞれ年別に抽出したところ、18年および19年1~7月までのランキングで1位にランクインしたのは『自衛隊防災BOOK』(マガジンハウス)でした。

 

『自衛隊防災BOOK』

 同書では人命救助をはじめ、食料の確保や給水、緊急措置など、災害時のトラブルに対処する100のテクニックを収録しています。また、危機管理のプロである自衛隊が監修しており、危機管理のノウハウが詰まった1冊です。メディア露出も多く、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ノンストップ!」(フジテレビ系)などのテレビ番組で続々と紹介されたことでも話題となり、18年8月の発売以降、継続的に売れています。

 

 そのほかにランクインした本を見てみると、女性・親子向けやペットの防災関連本が多くランクインし、「自分の生活に最も適する形で災害にどう備えれば良いのか」について関心が高まっているようです。

 

 その中でも17年はトップ10のうち、「女性・親子向け」の本は2位『クロワッサン特別編集 [最新版]女性目線で備える防災BOOK』(マガジンハウス)、3位アベナオミ『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(学研プラス)の2冊であり、いずれも19年でもトップ10入りしています。

 

 18年の傾向は、「女性・親子向け」だけでなく、「ペットの防災」に関した書籍が3冊ランクインしました。ペットの防災関連本で売れ行き好調だったのは、熊本地震で被災した獣医が書いた、德田竜之介『どんな災害でもイヌといっしょ』(小学館)、同『どんな災害もネコといっしょ』(同)が4位と6位に。9位には『猫と一緒に生き残る 防災BOOK』(日東書院本社)がランクインするなど、ニーズの広がりが顕著に表れた年となっています。

 

 そのニーズはさらに広がりをみせ、19年は「女性・親子向け」、「ペットの防災」に加え、「平常時にも備えられる防災関連本」がランクインしました。

 

 3位の『たのしく防災! はじめてのキャンプ』(NHK出版)は、キャンプを通して被災生活にも役立つ技術が紹介された一冊。5位の『防災食 いつもの食事にも取り入れたい』(ぴあ)は「ポリ袋レシピ」「缶詰レシピ」「保存食レシピ」など普段の食事にも取り入れられる防災食のレシピなどを掲載しています。このように普段から、被災時に役立つ知識やスキルを身に付けたいという傾向も目立ちました。

 


 

上位の半数以上が親子向けの防災本

実体験を参考に災害に備えたい傾向が

 

 

 子どもを持つ購買者の防災関連本ランキング(※2)を見てみると、トップ10のうち半数以上が親子向けの防災関連本でした。中でも、2位『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア』や5位『子連れ防災手帖 被災ママ812人が作った』、7位NPO法人ママプラグ『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』(祥伝社)の3冊は、被災した親の実体験をもとに書かれた内容で、災害発生時に子どもを守るための行動を具体的にイメージでき、親目線のニーズに応える書籍となっています。

 

 また、6位にランクインした、永田宏和監修『クレヨンしんちゃんの防災コミック 地震だ!その時オラがひとりだったら』(双葉社)はマンガとイラスト、写真の解説つきで、親子で一緒に防災が学べる1冊です。

 


 

2018年の「防災関連本」売り上げが前年比6倍に

 

 

 18年は防災意識の高まりから、17年と比較すると売り上げが約6倍に増加しました(※3)。2018年は7月に西日本豪雨、9月に北海道胆振東部地震など、大規模災害が発生した1年でした。その影響もあり、18年8月に発売した『自衛隊防災BOOK』が息長く売れ続けています。

 


 

「防災関連本」購入者に男女差はなし

 

 

 「防災関連本」購入者の属性(※3)を見てみましょう。購入者の男女比率は女性51%、男性49%とほぼ半々に分かれました。昨今、地震や台風にともなう大雨や局地的豪雨などが頻発している状況を受けて、「防災」に対する意識の高まりに男女差はないことがわかります。

 

 また、「防災関連本」を購入している世代(※3)は、男女ともに40代が最も多い結果となりました。次いで、女性では30代の26.4%、50代の23.0%、60代の6.2%、20代の4.2%、70代以上の1.2%の順となりました。男性では、50代の28.2%、30代の16.2%、60代の11.5%、20代の4.6%、70代以上の4.0%の順でした。

 


 

『自衛隊防災BOOK』を購入している人たちの購入傾向

 

 「防災関連本」で最も売れている『自衛隊防災BOOK』を購入した人(※4)は、どのような「防災関連本」を購入しているのでしょうか。今回、対象の購買者データを紐解いたところ、最も多かったのが『自衛隊防災BOOK』でした。次いで、『たのしく防災! 初めてのキャンプ』、谷山宏典『ドキュメント豪雨災害』(山と溪谷社)の順番でした。

 

 『たのしく防災! 初めてのキャンプ』は、19年のランキングで3位、子どもを持つ購買者のランキングでも4位にランクインしており、キャンプを楽しみながら「防災」の知識を学べることが購入に繋がっているようです。

 

 

 また、本ジャンル全体でみると、『自衛隊防災BOOK』を購入した人(※5)は、どのような本を購入しているのでしょうか。

 

 こちらのランキングも1位は『自衛隊防災BOOK』でした。2位の樹木希林『一切なりゆき 樹木希林のことば』(文藝春秋)、小林弘幸『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)は19年上半期ベストセラーランキングに入っている書籍です。これら売れ筋書籍も購入している読者が多いようです。

 


 

(※1)

計算方法:17年1月1日から19年7月31日までの期間に販売された防災関連本の販売データをもとに独自集計。

(※2)

計算方法:18年1月1日から19年7月31日までの期間に販売された防災関連本の販売データをもとに独自集計。

(※3)

計算方法:17年1月1日から18年12月31日までの期間に販売された防災関連本の販売データをもとに独自集計。

(※4)

計算方法:18年8月9日から19年7月31日までの期間に販売された防災関連本の販売データをもとに独自集計。

(※5)

計算方法:18年8月9日から19年7月31日までの期間の販売データをもとに独自集計。