文芸社が今年1月に創刊した過去の自費出版作品を文庫で再刊する「文芸社文庫NEO」で5月に発売した小坂流加『余命10年』が、1カ月ほどで5刷5万5000部と売れ行きを伸ばしている。 この作品は余命10年を宣告された20歳女性のラブストーリー。2007年6月に同社から自費出版し、3刷1万部まで販売。この作品に加筆修正して文庫化した。 表紙イラストに『君の膵臓をたべたい』(双葉社)も手掛けたloundraw(ラウンドロー)を起用したこともあり、発売前から書店の反応も良好で、初版1万2000部で発売後の初速は速く、早々に重版を繰り返した。 著者自身が余命宣告を下され、刊行を待たずして今年2月に亡くなったこともあり、著者の地元、静岡版など新聞各紙でも紹介されている。 「文芸社文庫NEO」は過去の自費出版作品から有望なものを選び、時代に合わせてタイトル、表紙、内容をブラッシュアップして市場に投入する企画。 ラインアップは書店へのリサーチ結果をもとに社内の投票で選定。表紙も書店からの意見を取り入れて人気イラストレイターなどを起用している。今年1月15日に3点で創刊誌、3月と5月に1点ずつ発売している。