【海外レポート・アメリカの書店?】紀伊國屋書店 ニューヨーク店

2016年4月13日

紀伊國屋書店 ニューヨーク店

現地人向けに変身した日本書店

 かつて、同店はニューヨーク近郊に住む日本人コミュニティーの核として存在感を発揮し、2001年の9.11でも、そうした日本人コミュニティーの安否情報などが掲示される拠点となった。しかし、その後、日本の不況もあって日本企業が撤退、在留日本人が減少するなかで、今は1階を英文書にするなど現地人向けの店舗という側面を強くしている。

 数年前に現在地に移転増床した。3フロア500坪弱、2階にカフェを併設。当初、1階と地下のみだったが、デザイナーのケイニー・タンが正面の公園を臨める2階が必要だと主張して開けたという。

 2階はコミック・マンガなど現地人向けJ-POPカルチャーが中心、1階は英文書、デザイン・アート書に力を入れている。地下は和書・和雑誌と文具。各階のコンセプトを変えて、違うターゲットを狙うようにした。この3フロアが集まって紀伊國屋書店と呼ばれる店を作ろうと考えている。

 和雑誌は近くのブックオフの影響もあって厳しいが、日本人以外の客に向けている。メンズファッションなどはニューヨークで受けている。和書は日本人向けが中心になるが、図版での紹介が詳しいニットの本などは海外での評価が高くよく売れる。また、日本語学習の需要も増えている。文具も日本製品は品質がよいと評価されていて、文具のために来店する人もいるという。(星野渉)

所在地=1073 Avenue of the Americas, New York, NY 10018