中小書店の協業会社NET21は2月4日、東京・文京区の文京シビックセンターで、新規メンバーを募る書店説明会を開いた。同社が書店に向けた加入説明会を開くのは初めて。また、説明会の中で出版社とのトークセッション「書店協業化の未来と出版社が期待すること」を行い、同社の役割やメリットなどについて話し合った。説明会には青森県八戸市から沖縄県那覇市まで18書店20人と出版社などが参加。トークセッションに続いて、同社の紹介映像の上映、参加書店との個別説明会を行った。同社は97年に書店7法人で任意団体としてスタート、01年に有限会社として法人化した。現在は22法人44店舗が加盟し、合計の年商は107億円。主要出版社のランクで30位程度に入っている。初めに初代社長を務めた渡辺順一相談役(進駸堂)が、説明会の趣旨を「仲間入りするための心理的、物理的なハードルを低くしたい」と説明。「当初は法人として認めない版元もあったが、11年続けられた。毎月定例会や店長会、役員会などあるが、手弁当で集まっている。忙しい中でほとんど全員が集まれるのは、?元気??やる気?がもらえるから」と述べた。また、同社の運営については「入ったら何でも解決できるわけではない。それぞれが役目を果たすみんなの会。だから仲間を信頼できる。メンバーを増やすことで儲かるわけではなく、やる気がある人の加入で活性化することを期待している」と述べた。トークセッションは、同社・田中淳一郎社長(恭文堂)の司会で、講談社販売促進局・佐藤雅伸局長、ダイヤモンド社営業局・井上直営業部長が参加。田中社長は冒頭、NET21について「主な仕事は共同仕入。各加盟書店のオーナー22人がそれぞれ担当する出版社を持って仕入れている」と説明した。佐藤局長は、かつて約60人の体制だった書店促進が現在13人になり、「本部のある法人と仕事を進めざるを得ない」とし、井上部長も「出版社は人数を削減していて、本来は1店1店お付き合いしなければならないが、本部とのお付き合いが深くなる」と、出版社が法人対応へシフトする事情を述べ、中小書店が共同出資で法人化したNET21の存在価値を示した。その上で、田中社長の「NET21に欠けている要素は」との質問に対し、佐藤局長は「法人格はあるが各書店が独立しているので、全体の売上目標の設定などが他の法人と違う点」と指摘。井上部長は「ビジネス書の増売をもっと大きな枠で話せると、よりよい関係になると思う」と述べた。またNET21の仕入体制について、佐藤局長と井上部長は揃って「バイヤーが22人もいるのはNET21だけ。やりようによって濃い情報を集められる」と、バイヤー機能の充実を訴えた。映像での同社の理念、体制、メンバーなどの紹介に続き、POSシステムなどを担当する光和コンピューター・友野雅志専務が、NET21仕様のPOSについて説明。91万8000円をNET21加入者には特別価格で提供すると述べた。このあと、加入までの流れとして?定例会にオブザーバーで3回参加?経営状況の確認―があり、取引取次は書店の自由だが、本部仕入は栗田出版販売で行っていると説明があった。
NET21、書店向けの新規加入説明会を開く
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2012年2月10日