ソニー、電子書籍端末「リーダー」は読書好きが対象

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2010年11月25日
ソニーは11月25日、東京・品川区の本社で「電子書籍事業および製品発表会」を開き、12月10日に日本語版の電子書籍専用端末「リーダー」2機種を発売し、電子書籍配信サービス「リーダーストア」を立ち上げると発表した。日本で電子ペーパーを搭載した読書専用端末が発売されるのは、04年に同社が投入した「リブリエ」以来となる。発表会にはメディア関係者とコンテンツを提供する出版社関係者が参加。ソニーの電子書籍事業を統括する米国ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイスプレジデントと、ソニーマーケティングの栗田伸樹社長が端末と配信事業を説明した。発売するリーダーは、119・1?×169・6?、215?の6型「Touch Edition」と、104・6?×145?、155?の5型「Pocket Edition」。市場想定価格は6型が2万5000円、5型が2万円。通信機能はなく、パソコンでダウンロードしたコンテンツをUSBで取り込む。端末は11月26日から東京・銀座のソニーショールーム、ソニーストア大阪、ソニーストア名古屋で先行展示を開始、12月10日からは家電量販店など同社特約店を中心に300拠点でコーナーを展開する。野口VPはイギリスでは書店チェーンのウォーターストーンズで販売したことを紹介したが、日本でも書店での販売について検討しているという。コンテンツは、当初、XMDFに対応し、今後、ドットブック、EPUB3・0にも対応していく。発売時点で2万タイトル以上を揃え、内容は文芸書、ビジネス書、実用書など。吉田修一『悪人』(朝日新聞出版)、『スティーブ・ジョブス脅威のプレゼン』(日経BP)、書籍版と同時発売になる勝間和代『人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイド』(ディスカヴァートゥエンティーワン)など10タイトルをプリインストールする。新聞、雑誌など定期購読モデルについては「今後の展開として検討しているが現在のところ未定」(野口VP)という。野口VPは「リブリエがあったからこそ今のリーダーがあり、他社の電子ペーパーを使った端末がある」と、同社がいち早く読書端末を開発したことを強調。米国など13カ国で既に事業を開始しているとし、「書籍の市場は大きなポテンシャルがあるが、各地域の文化に根ざしており、作り手の思いを受け止め、読み手の期待に応えるビジネスを心掛けている」と日本の地域性に合わせた事業を展開する考えを示した。汎用型のタブレットとの比較について野口VPは、「米国では汎用機も伸びているが専用機も一定の伸びを示している。ただ、コンテンツ購入は汎用機の5倍あり、コンテンツサイドからは専用機が重要」とし、紙の市場との関係については「北米では紙プラス電子書籍で市場全体が拡大している」と説明した。通信機能をもたないことについては、「日本で早くスタートしたいので、この2モデルにした。ワイヤレスについても検討したい。ただ、3Gモデルは日本で成り立つのか検討しているが答えは出ていない」と述べた。また、栗田社長は販売目標を「1年程度で30万台、2012年には専用端末全体で100万台を超えるとみているが、50%ぐらいのシェアを取りたい」と述べた。市場については、「月3冊以上を読む21%の読者が書籍市場の63%を占めている。そういう読者が日本には2000万人いる」とし、そうした読書好きを対象にすると説明。リーダーはバックライトがない電子ペーパーと、光学式タッチパネルを搭載して、本を読むことにこだわったと説明した。主な取り扱いタイトルは、林真理子『Ango』(小学館)、村田由佳『おいしいコーヒーのいれ方キスまでの距離』(集英社)、山田宗樹『天使の代理人』(幻冬舎)、マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)、池上彰『伝える力』(PHP研究所)、田渕久美子『新装版 江 姫たちの戦国』(NHK出版)、メアリー・ノートン『床下の小人たち』(岩波書店)、二宮清純『人を動かす勝者の言葉』(東京書籍)、井出耕也『ホンダ伝』(ワック)など。