九州トーハン会、近藤敏貴新社長が所信

2010年7月16日

 【九州】第3回九州合同トーハン会が7月12日、福岡市のヒルトン福岡シーホークで開かれ、沖縄、佐賀を除く各県から会員書店99人、出版社109社144人、トーハン13人など総勢276人が出席。6月29日に社長に就任したトーハン・近藤敏貴新社長も顔を見せ、教科書デジタル化への懸念を示した上で、責任販売の推進、電子書籍への対応、図書館販売の拡大などの施策を説明した。また、合同総会受付には宮崎の口蹄疫被害救済のための「義援金募金箱」が設置され、4万2714円が集まった。宮崎日日新聞社を通して宮崎県共同募金会に贈られる。

 第1部は各県単位でのトーハン会総会、第2部会員研修会は▽九州合同トーハン会拡売商品説明▽公共・学校図書館と地域の書店との取引拡大について▽MVPサプライの提案などを行い、第3部は来春に全線開通する九州新幹線になぞらえて「九州新刊選」と銘打った「大商談会」を開き、出版社が91のブースを出展した。

 第4部合同総会では、福岡県トーハン会・山本太一郎会長があいさつ。電子書籍に触れ「同タイトルであれば、新刊本はリアル本とデータ本を同じ価格にすべき」としながらも「データ本については、数カ月後であれば一定の割引は容認せざるを得ない」と私見を述べ、さらに「部分再販、時限再販、責任販売制など数々あるが、出版社はきちんとした買切に似合う商品を作って欲しい」と要請した。

 トーハン・近藤社長は開口一番「教科書のデジタル化論議」に異議を唱えた上で、▽責任販売、効率販売の強化=書店の利益を拡大するMVPブランドの開発、桶川のデータを基にしての実売の向上と返品減少▽電子書籍の対応=紙の本で培ってきた仕組みと連携を保ちながら、書店・出版社との役割分担の中でデジタル化の対応を推進する▽市場開発の推進=読者目線に立った市場開発、シェア拡大▽図書館マーケット=トーハン独自のマークを作成し提供。今後は国立国会図書館のJAPANマークとの連携を図り書店の売り上げに貢献する――などの施策を説明した。

 福岡出身で新任の九州営業部・小島俊一部長は「書店様の悲しみは我が悲しみとし、書店様の喜びを我が喜びとする。そして書店様と共に前へ進んでいく」と力強く所信を述べた。

 最後にNHK出版・遠藤絢一社長があいさつ。各県会員の紹介で総会を終了。懇親会に移った。

 懇親会では、鹿児島県トーハン会・瀬川浩三会長が歓迎あいさつを行った後、トーハン・川上浩明常務西日本営業本部長が「当社は一貫して書店、出版社、運輸会社など関連会社と共に歩く」とあいさつ。角川GP・井上泰一取締役相談役が、「ソフト業者として書店を中心に頑張ろう」と杯を上げた。

 熊本トーハン会・宮崎容一会長が御礼を述べ、大分トーハン会・二階堂進会長らとポプラ社・坂井宏先社長が「教科書のデジタル化は業界が団結し断固阻止しなければならない」と気勢を上げ、二階堂会長の一本締めで閉会した。

 この会は隔年開催だったが、来年度以降は原則として毎年、福岡で開催する。