書協がデジタル化で特別委員会設置 経産省や総務省の動きにも対策

2009年12月10日

 日本書籍出版協会は12月8日、東京・新宿区の日本出版会館で09年度第8回理事会を開き、日本書籍検索制度提言協議会など書籍のデジタル化の動きに対応するため、「デジタル化対応特別委員会(仮称)」の設置を決めた。委員長や委員の選任はこれからだが、書協が出版物のデジタル的な提供を促進する目的で委員会を立ち上げたのは初めて。

 9日に専門紙記者向けに開いた記者会見で山下正専務理事は、経済産業省が近く「出版市場のデジタル化に係る検討委員会」の申請を採択する見通しや、総務省の担当者が書協を訪れ、出版物のデジタル流通についての実証実験を予定していることを説明したことに触れ、「業界が受け身になっている局面が多いが、出版社が積極的に関わっていく方向になりつつある」と理事会の様子を説明した。

 同日の午前中に提言協議会が開かれ、書協が提出した構想案は次回以降に検討する。また、書協、文藝家協会、国立国会図書館という検討メンバーを拡大するかについては、基本構想が固まるまでは当面、現在のメンバーで検討することにした。

 また、経産省の採択が見込まれている特別委員会には、まだ正式な委嘱はないが、書協として金原優副理事長(医学書院)と植村八潮理事(東京電機大学出版局)を委員として派遣することを確認した。

 樋口清一事務局長は「この1~2カ月で書籍のデジタル化に関する動きがかなり進展しているが、各検討が今後、どのように収斂するのかはみえないところがある」と述べ、書協として慎重に見極めていく姿勢を示した。

 デジタル化対応特別委員会

 主な検討事項

 ○日本書籍検索制度提言協議会に対する書協としての考え方をまとめる。

 ○経産省「出版市場のデジタル化に係る検討委員会」に対して書協としての考え方をまとめる。

 ○知的財産推進本部、文化庁等における著作権法等の知財法制の見直しの動向を注視し、知的財産権委員会と連携し書協としての考え方をまとめる。

 ○出版コンテンツのデジタル流通を促進するための環境整備に向けての検討を行う。

 ・著作権者との契約問題

 ・既存の印刷媒体におけるコンテンツのデジタル化における標準化に関する研究

 ・出版社が行うデジタル化促進のための手引き・ガイドライン作成に向けた研究

 委員構成・検討体制

 ○常設委員会の枠にとらわれず、知財関係、流通関係、システム関係の各方面に目配りした総合的な検討を行う。

 ○必要に応じ、各常設委員会と連携して開催する。

 ○雑誌協会、電子出版協会等の関連団体とも必要に応じて連携して検討を行う。

 ○委員は当面10名程度とし、必要に応じて増員あるいは小委員会、WG等を設置する。