トーハンが日本出版貿易の筆頭株主に 洋書物流構築や海外への拡大を目指す

2009年7月3日

 日本出版貿易は7月3日、トーハンを引受先とする第三者割り当て増資を行うことを決めた。トーハンの持ち株比率は21・4%となり筆頭株主となる。増資により日出貿は2億5700万円の資金を調達するほか、業務提携によって経営力強化、経営基盤の安定をはかり、中国、韓国等向けを中心とした海外市場への輸出出版物の拡販や、新分野の拡充、国内書店向けの事業の拡大などを目指す。

 普通株式を1株260円で100万株発行し、すべてトーハンに割り当てる。この増資によって、トーハンの持株比率は8・3%から21・4%となり、これまで筆頭株主だった中林三十三氏の持株比率は14・9%となり、トーハンが筆頭になる。払込期日は7月21日。

 業務提携によって日貿は、トーハンとの物流の協業化による大幅なコスト削減及び販売機会の拡大といったシナジーを見込んでおり、洋書の物流拠点についても共同で構築する。また、書店マーケットにおける洋盤CD取扱の拡大、日本で暮らす外国人向けの商品の供給、和書翻訳出版による伝統文化の発信、書店への洋書の安定供給、商品調達スピードの向上などを図る。

 調達資金の使途は、トーハンとの協業で行う洋書物流業務改善にかかわる初期費用、コンピューターシステム開発費用及び売上拡大のための運転資金として1億5000万円、同じくトーハンとの協業を予定している国内外での翻訳出版事業に係る市場調査・出版権利取得・著作権使用に関する手数料等の運転資金として4000万円、さらに出版物事業における中国、韓国等を中心とする海外市場の拡販など新規分野の拡充のための市場調査等の費用として6700万円を充当する予定。