ディスカヴァー21、各書店で大幅ランクアップ ネット書店での

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2009年4月9日
書店との直接取引で売り上げを拡大してきたディスカヴァー・トゥエンティワンは昨年、アマゾン・ジャパンで売上順位が前年比で37ランクアップし、ジュンク堂書店でも売り上げが43%増えるなど、各書店のランキングで飛躍的に伸びた。同社の本を書評ブロガーが紹介し、オンライン書店で上位にランクインするというネットの相乗効果を、リアル書店にも結びつけたようだ。07年4月刊行の『年収10倍アップ勉強法』(勝間和代著)は、著者がまだ無名だったにも関わらず、発売直後から多くの書評ブロガーが紹介したことでアマゾンランキングで1位になりブレイク、その後の勝間ブームを生み出した。アマゾン1位のきっかけは、同書の発売直後に人気書評ブロガーが紹介、?はてなが運営するソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」の「最新人気記事」に一晩で数百のブックマークが付いた。これによって同書の紹介記事をみた人がアマゾンで購入しブログで紹介、再びアマゾンで売れるという相乗効果が生まれた。干場弓子社長は「これが象徴的な出来事だった」と話す。発売当時「無名の、しかも女性が書いたビジネス書なんて」と懐疑的な声も多かったが、同書の販売好調をきっかけにして、「これは売れると思い、営業にリアル書店での平積みを指示しました」(干場社長)。一昨年のこの当時は中堅の地方書店から「アマゾンとリアル書店は関係ない。東京での話」という声が圧倒的に多かったが、それから半年後には、アマゾンのランキングを見ながら注文してくる書店が増えたという。全体的に売上伸び率が増加した08年は、リアル書店向けの営業方法を変えて「試しに入れてみましょう。売れ行きが芳しくないようでしたら引き取ります」というセールストークで働きかけ、同書以外の売れ行き良好書についても提案するようにした。1700店舗を16人で毎月訪問同社の取引書店は全国約4000店舗。営業は16人中20代が10人。このメンバーが毎月1700店舗を訪問し、さらにアルバイト3人が2300書店に電話をして受注とともに売れ行き良好書の営業も行う。また、アマゾン・ジャパンが取り組むサービス「e託販売」に07年8月から、「なか見!検索」にも08年8月から、刊行点数のうち半数の約220点で開始したことも、アマゾンでの売上増に結びついた。同社は85年4月に創立し、20代後半?40代前半向けの自己啓発書、ビジネス書を主に刊行しているが、10年前のビジネス書市場は硬い内容のものが多く、若いビジネスパーソン向けの「自己啓発的ビジネススキル書」といえるビジネス書がなかったと干場社長はいう。その新しいタイプのビジネス書だった勝間氏の著作と、オンラインからリアルに展開した同社の営業施策が、一気に売れ行きを拡大した原動力だったようだ。干場社長以外の役員、社員も書店からの電話注文を受ける。電話をしてきた書店ではどういう本が売れているか、何を見て注文してきたのか、さらに自社の売れ行き良好書を薦められる、などマーケティングに役立てられるからだ。干場社長は「データによる販売分析はもちろんしますが、書店からの電話をその場で受注することで、売れ行き状況を肌で感じられます」と述べる。また、「直取引のため、書店と直接交渉して相談の上で納品数をコントロールできることも、過剰納品と機会損失の双方を減らし、売り上げに結びつけられたと思います」と話している。