第5回電子ペーパーシンポジウム 電子新聞や海外動向などを報告

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2008年10月14日
ビジネス機械・情報システム産業協会電子ペーパーコンソーシアムが主催する第5回電子ペーパーシンポジウムが10月10日、東京・江東区の日本科学未来館で開催され、2回電子ペーパーアイデアコンテスト最終審査やノンフィクションライター・山根一眞氏による講演、3つの調査研究報告などが行われた。また別会場で会員各社による電子ペーパーのデモンストレーションも行われた。経済産業省商務情報政策局情報通信機器課・瓜生和久課長補佐の来賓あいさつに続き、坪田知己電子ペーパーコンソーシアム委員長(慶應義塾大学院政策・メディア研究科教授)が、モノクロの電子ペーパーはビジネスになり、クリーンITとして省電力も期待されていると紹介するとともに、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から委託を受けた報告書を紹介。さらに、「我々が考えるだけでなくアイデアを集めるために昨年からアイデアコンテストをやってきた」とし「そこから浮かび上がる問題を消化し将来につなげたい」と述べた。電子ペーパーアイデアコンテストの最終審査は、応募のあった40点のなからか第1次審査を通過した次の6氏がプレゼンテーションを行った。?有斐閣電子メディア開発室の鈴木道典氏による、電子ペーパーを使用した電子書籍リーダーによる学術書・専門書サイト連係サイトでのビジネスモデル「叡智の海」?緒方旗生氏による、カラー電子ペーパーを球体に貼り付けて実現する球体ディスプレイ「万能儀」。?吉田忠雄氏による、パルス光源と電子ぺーパーを組み合わせることで明るい部屋でも鮮明な画像投影を可能にする「Digital Black Wall Paper(デジタル黒壁紙)」?東京電機大学エルゴノミクスデザイン研究室・宮本穂乃香氏の、様々な単位・縮尺の測定が一本で可能になる「電子ペーパー定規?万能スケール?」。?東京電機大学理工学部情報社会学科・中川貴文氏による、扇子に電子ペーパーを使い、お気に入りの風景などを写す「電子ペーパー扇子」?慶應義塾大学院政策・メディア研究科・鈴木雅陽氏による、バッグの表裏部分に電子ペーパーを用い、マイバックを作る「マイラバ」。続いて山根氏が、「『紙滅(しめつ)』の条件と『デジタル紙』の課題」と題して講演。期待としてA4サイズで折り畳んでポケットに入れられる電子ペーパーのモデルを示し、「ケータイなどと違い、人と人が会ったときのリアルな世界をサポートするツールになって欲しい。値段は3200円、100ギガくらいを私が生きているうちに何とかして欲しい」と述べた。電子ペーパーコンソーシアムの調査研究報告として、RG1主査の児玉良幸氏(セイコーエプソン)が「電子ペーパー新聞の可能性について」、RG2主査の橋本清文氏(コニカミノルタテクノロジーセンター)が「欧州における電子ペーパーの動向について」、RG3主査の小清水実氏(富士ゼロックス)が「電子ペーパーが第三のメディアになるためには」についてそれぞれ報告。さらに、面谷信電子ペーパーコンソーシアム副委員長(東海大学工学部光・画像工学科教授)がNEDO委託事業報告として出席者に配付された「電子ペーパーディスプレイに関する市場ニーズおよび技術動向調査報告」の概要を紹介した。最後にアイデアコンテストの表彰式が行われ、プレゼンした6氏に優秀賞が贈られるとともに、来場者と審査員による投票により、準大賞は緒方氏の「万能儀」に、大賞は宮本氏の「電子ペーパー定規」にそれぞれ贈られた。また、隣接する会場で会員各社の電子ペーパー商品として、iRexの新しい大型リーダーや各社のディスプレイなどのデモンストレーションが行われた。