埼玉日販会、雑誌増売スタート 関口会長「中小書店が店でお客を

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2008年10月3日
埼玉日販会(75法人105書店)は9月から雑誌増売企画をスタートしたが、関口清博会長(カサモ関口商店)の店舗でもコーナーを作って取り組みを開始、対象誌の売れ行きは順調だという。増売企画は、埼玉県で売れ行きの良い講談社「おとなの週末」、アクセスパブリッシング「東京カレンダー」、徳間書店「食楽」を9?12月の4カ月間にわたってオリジナルPOPなどで拡販するもの。埼玉県加須市の加須駅ビルのヤングポートカサモでは、関口会長が作った居酒屋風の販売台を展開。「おとなの週末」は7月号が7冊入荷3冊販売、8月月号が4冊入荷2冊販売、9月号が6冊入荷5冊販売だったが、取り組みを開始した10月号は20冊入荷し9月23日現在で9冊販売した。通常は大型企画商品を取り上げることの多い増売企画で雑誌を取り上げた関口会長は、昨年会長に就任したときから「『やらないよりはやった方がまし』では仕方がない。実際に行動していることを会員にもアピールしたい」と考えていたという。関口会長が経営する店舗は140坪の本店と、駅ビル内90坪のヤングポート店の2店だが、学校や公共機関など外商が7割に達する。「中小書店が店にいてお客を待っていても仕方がない。たとえ500?でも1?四方でも回れば商売になる」という考えからだ。書店としては創業25年と新しいが、関口会長で17代目の旧家。「カサモ」は江戸時代から続いた屋号「笠屋茂平」から来ている。教科書と文具中心だった店を、25年前に拡張して書店にした。日販のPOSシステムは正式リリース前に「王子流通センターを見学してPOSを入れなければならない」と考え、モデル店として導入。「手作業で管理していた文庫は、在庫が減って売り上げが上がった」と効果を上げた。CRMシステム「HonyaClub」も新聞で見てすぐに日販を訪ね、埼玉県では最も早く導入するなど、システムへの投資も積極的。ICタグも「今まで信頼関係がなかったので商品が来なかった。委託は必要だが、ICタグが入ることで改善できる」と注目している。「お客さんにどんな本が出たか、取り寄せるならどのぐらい時間かかるかなど正確な情報を提供するほど商売になる。売れる商品を待っているのではなく、お客さんの心をつかむ努力が大切」と自らの力で切り開こうとする姿勢が、今回の雑誌増売にもつながっているようだ。同店の周辺にも大型SCがいくつも現れ、大型書店に取り囲まれる。それでも「大型書店は歩くことができないが、我々は、こちらからお客さんのところに行ける」と前向きだ。