大垣書店グループ堀川新文化ビルヂング開業 日常の延長「文化のプラットフォーム」

2021年11月26日

 大垣書店が京都市上京区の堀川団地跡地で進めていた事業、「ブック&カフェ」に「アートとクラフト」を融合させた「堀川新文化ビルヂング」が11月20日に開業した。「本」と「アート・クラフト」を組み合わせた新形態の施設に、近隣住民はじめ、自治体、さらに芸術家らの発信拠点として期待が高まっている。

 

文化・芸術の発信拠点を目指す堀川新文化ビルヂング

 

 約100坪の土地に地上2階建て。1階には65坪に3万5000冊を揃えた大垣書店、アートブック制作などを請け負う印刷工房「昌幸堂」(修美社運営)、カフェ&バー「スローページ」が出店。2階は、ギャラリー・イベントスペースとして展覧会やイベントを催し、レンタルオフィスも設けた。

 

夢叶う拠点に

 

 1950年代に建てられた堀川団地(京都市上京区)の老朽化をめぐり、2017年、京都府による再整備事業の北側棟跡地公募(プロポーザル)において同社の提案が選定された。

 

 計画始動後、資材の高騰や新型コロナウイルスの蔓延など、事業継続が危ぶまれたというが、開業セレモニーで大垣書店グループ・大垣守弘社長(大垣書店会長)は「近隣住民の理解、関係者の協力で開業に辿り着いた」と謝意を示し、「テーマは『堀川の暮らしに豊かさを』、『日常の延長戦上に文化のプラットフォームを』。先行き不透明な時代だが、この場所を契機に生きる希望、夢が叶う施設にしていく」と力を込めた。

 

祝福に訪れた関係者に応える大垣守弘氏

 

 来賓の西脇隆俊知事は「二条城からここ西陣織の玄関口に位置するビルヂング、そして京都御所と観光客は徒歩で回遊できる範囲。新しい文化ゾーン、伝統産業活性化地域として発展してほしい」と祝辞を述べ、トーハン・川上浩明副社長は「近隣に書店がないこの地区に、町の本屋として存在価値を示すという強い気持ちで開業された。当社も商品供給の面で最大限支援していく」と誓った。

 

大垣書店社長に就任した大垣全央氏

 

 11月1日に大垣書店社長に就任した大垣全央氏は「各スタッフが知恵を絞って新しい大垣書店をスタートさせた。地域に喜ばれる施設にしたい」と抱負を述べた。

 

コンセプトは対話型書店

 

 堀川新文化ビルヂング・和中整館長(大垣書店)は取材に「書店のコンセプトは『対話型』。まずはスタンダードな品揃えで、お客様の声を聞きながら変化させていく。印刷工房、カフェ、2階スペースも含め連携して地域に喜ばれる施設にしていきたい」と抱負を語った。

 

 開設準備室長として開業に向けて奔走した大垣守可2階支配人は、「アートとクラフト」をテーマにした企画の創出に苦慮し、多くの文献・書物を読み込み、ウィリアム・モリスの『理想の書物』に答えを見出し、施設づくりに生かしたという。  

 

 さらに感銘を受けた同書を読者にも届けたいと、出版元の筑摩書房に増刷を懇願し「限定復刊」として展開している。「施設全体で紙の本の底上げを図っていきたい」と意欲を語った。【堀雅視】

 

〈堀川新文化ビルヂング〉

 

 ▽所在地=京都市上京区皀(さい)莢(かち)町287/大垣書店電話番号=075(431)5551

 

『理想の書物』=徹底した理想の書物づくりを追究する私家版印刷所を設立した装飾芸術家モリスの書物芸術を論じたエッセイ