文化通信

紙面PDF・モバイル データベースの購入・利用はこちらから

ニュース

インプレス・ミシマ社「しごとのわ」電子書籍発の書籍3刷に

2018.05.18

 インプレスとミシマ社の共同レーベル「しごとのわ」として3月14日取次搬入で発売された小説『おカネの教室―僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(高井浩章著)が、同レーベルで最速の売れ行きを示している。

 「しごとのわ」は企画・制作をミシマ社、営業・プロモーションなどをインプレスが担当。昨年1月に刊行を開始し『おカネの教室』が9点目。

 同書は当初、著者個人で電子書籍を配信し、書籍版は初版6000部で発売。2カ月ほどで3刷累計1万部と売れ行き好調だ。

 著者は現役の経済記者で、2010年に子どもにお金の勉強をさせたいと、月1回ほどのペースで書き始めた。結局、中断を挟み執筆に約7年間かけた。

 「出版経験のある友人に読んでもらったら、小説かビジネス書か、子ども向けか大人向けかわかりにくく、文章も長いので出版は無理だと言われた」という高井氏だが、書き上げて他の友人にメールで送ると、「面白い」「本にしたら」という反応があったという。

 そんなときに、以前に読んだ佐々木俊尚氏の新書『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァートゥエンティーワン)を思い出し、電子書籍で出版することを思い立った。

 電子書籍は17年3月にキンドルダイレクトパブリッシング(KDP)で発行。上下2分冊にして、価格は上が100円、下が400円に設定。「ワードのファイルをアップしたら2、3時間で発売された」という敷居の低さに高井氏は驚いた。

 しかも、宣伝もしていないのに口コミで広がり、上下合わせて3カ月で3000〜4000部、半年で6000〜8000部と売れた。結果的に11000部ほどを販売し、レビューも50件以上付いた。読者の9割は読み放題サービス「アンリミテッド」を利用していたという。

 紙の本や書店が好きだった高井氏は、電子書籍が売れたことで「本を出してくれるかもしれない」と考え、PDFにして複数の出版社に送った。すると、「送った全ての出版社から1〜2週間のうちに反応があった」という。中でも「圧倒的に反応が早かった」のがミシマ社だった。

 高井氏は「大幅なリライトはしない」という条件で「しごとのわ」での刊行を承諾。しかし、書籍にすると400呂肪する分量を削るよう求められ、「結局は全部書き直した」という。それでも「最初に比べるとスピード感が増した。第三者の指摘はありがたかった」と振り返る。

 インプレス側で担当するビジネス編集部・井上薫デスクは、ミシマ社から企画の提案があったとき、すぐに電子書籍を読んで判断できたことや、既に実績があったことで、企画を通しやすかったという。

 発売後の反応は、電子書籍が売れていたにも関わらず、「電子書籍が出たときは『へー』という感じだった反応が、新聞に広告が出るとまったく違った」と高井氏。ネット書店でのレビューやSNSでの拡散も、書籍版の方が反応が大きいという。

 丸善ジュンク堂書店がPR誌『書標(ほんのしるべ)』で取り上げ、池袋本店では1階話題書コーナーで展開。青山ブックセンター本店で5月12日に著者イベントが開かれたのを手始めに、20日には丸善京都本店、24日には紀伊國屋書店新宿本店で著者の対談を行うなど、書店での展開も広まっている。

 「この本は読んだら語りたくなるのでレビューも多い。より多くの書店さんに読んでいただき、ファンになってほしい」と井上デスクは期待している。

インフォメーション

★第4回文化通信フォーラム「サンマーク出版がベストセラーを生み出せる背景―企画の独自性と、徹底的なプロモーション」はこちらから
工藤グループ
出版物セールスプロモーション・コールセンター・営業マン人材派遣ならブリッジへ